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お知らせ

DATE2023.04.12 #お知らせ

藤井総長、国立天文台をご訪問、東京大学アタカマ天文台(TAO望遠鏡)に関する覚書を延長

東京大学と国立天文台は、東京大学アタカマ天文台(TAOプロジェクト)の 口径 6.5m TAO望遠鏡運用に向けて、協力の覚書を再締結しました。藤井輝夫総長はご署名のため国立天文台を訪問、常田佐久国立天文台長と会談ののち、国立天文台の施設を見学されました。続いて理学系研究科附属天文学教育研究センターも訪問され、TAO望遠鏡の主力観測装置MIMIZUKUを見学されました。


 

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藤井輝夫東京大学総長(左)と常田佐久国立天文台長(右)(クレジット:国立天文台)

TAOプロジェクトは、チリ・アタカマ砂漠の世界最高標高5640m に口径6.5m の大型赤外線を建設運用する計画で、東京大学が20年以上にわたって進めてきた大型プロジェクトです。現在は望遠鏡建設の最終段階にあり、来年にはいよいよ科学観測を開始する予定です。このような状況のもと、東京大学と自然科学研究機構国立天文台は、5年前に締結されたTAO望遠鏡の運用の協力に関する覚書を再締結しました。

TAO望遠鏡は南半球に設置されるため、国立天文台の所有するすばる望遠鏡(米国・ハワイ)と協力することで、可視赤外線における全天の観測が可能となります。また、望遠鏡サイトが隣接するアルマ望遠鏡と組み合わせると、可視赤外線から電波にわたる多波長観測が実現します。運用の協力を進めることで、惑星、恒星、星間物質、銀河、宇宙論などの幅広い分野において世界をリードする新たな観測研究が期待されます。

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TAO観測装置を見学される藤井輝夫総長(左)とアタカマ観測所の宮田隆志所長(天文学教育研究センター内)

天文学教育研究センターアタカマ観測所の宮田隆志所長は言います。
「TAO望遠鏡ではその高い標高のおかげで、従来は見えなかった波長30ミクロン帯の中間赤外線も観測することが可能となります。このような赤外線は温かいダストを良くとらえることができます。一方で、電波観測ではガスや冷たいダストが見えます。これらを組み合わせれば、たとえば星の周りのガスやダストでできた円盤をクリアに捉えることが可能となり、円盤内で惑星が生まれる様子を知る手掛かりが得られます。このような波長連携は現代天文学では必須ですが、TAOはその中でも大変ユニークな波長、ユニークな役割を担うことができる望遠鏡であり、国立天文台をはじめとした国内外の望遠鏡との連携は有効かつ重要だと考えます。」

TAO望遠鏡では、科学観測時間の約35%を全国の研究者に広く提供される計画です。また、大学院生の利用も促進し、若手育成にも貢献してまいります。そうした意味で、TAOは国立天文台の推進する将来大型計画と、大学での研究・教育・人材育成をつなぐ架け橋としての役割も担っています。

TAOの運営主体である、天文学教育研究センターの土居守センター長は言います。
「国立天文台はすばる望遠鏡やアルマ望遠鏡など、全国共同利用の長い実績をお持ちです。これまでもご支援をいただいてきましたが、運用において一層のご協力をいただき、東京大学のみならず全国の研究者がTAO望遠鏡を活用していくしくみを充実させていければありがたいと思っております。特にTAO望遠鏡は大学望遠鏡として教育と人材育成にも大きな役割を果たせればと思っています。学生さんや若い研究者の方々の萌芽的・挑戦的な研究や最先端の装置開発を積極的に行い、国立天文台が推進している次世代30m望遠鏡TMT等で活躍できる人材を養成できるように努力してまいりたいと思います」

今回の国立天文台との協力覚書の再締結によって、今後の運用に、さらなる力強いサポートが得られました。TAO望遠鏡による、世界をリードする新たな観測研究が期待されます。

 

> 国立天文台HP