DATE2023.03.27 #受賞・表彰
物理学専攻の肥後友也特任准教授が第26回(令和4年度)丸文研究奨励賞を受賞
物理学専攻の肥後友也特任准教授が、第26回(令和4年度)丸文研究奨励賞を受賞されました。本賞は、科学技術の進歩ならびに次世代の産業創出に資する創造的産業技術の向上に対して、将来的に最も貢献が期待される顕著な研究成果を上げ、かつ独創的な研究に意欲的に取り組んでいる若手研究者に贈られるものです。受賞対象の研究テーマは、「トポロジカル反強磁性体Mn₃Snにおける機能物性開拓」です。
反強磁性体は、磁気抵抗メモリなどの強磁性体からなるデバイスを超高速・高集積化できる可能性を秘めており、学術的な観点だけでなく、応用的な観点からも近年注目を集めています。肥後特任准教授はワイル点と呼ばれるトポロジカル電子構造を有する反強磁性体Mn₃Snを舞台に、反強磁性体の表面・膜界面における電子機能の開拓を進めており、反強磁性金属において初めて巨大な磁気光学カー効果の観測とカー効果での反強磁性ドメインの観察に成功されました。また、巨大な異常ホール効果等の応答を室温で示すMn₃Sn薄膜を作製し、重金属との多層膜を用いて、電気、正確には、スピン軌道トルクにより、反強磁性秩序を介してワイル点・ベリー曲率由来の応答を制御可能なことを実証されました。より最近では高度な薄膜作製技術を活かして、反強磁性体からなる磁気トンネル接合素子においてトンネル磁気抵抗効果を共同で観測されるなど世界的に注目される研究を進められており、今後の益々のご活躍が期待されます。
丸文研究奨励賞
https://www.marubun-zaidan.jp/hyoushou.html
https://www.marubun-zaidan.jp/r04.html
(文責:物理学専攻 教授 中辻 知)