DATE2023.02.09 #受賞・表彰
山口そのみ氏(生物科学専攻)が第13回(令和4(2022)年度)日本学術振興会育志賞を受賞
この度、生物科学専攻の山口そのみさんが第13回日本学術振興会育志賞を受賞されたこと、心よりお祝い申し上げます。山口さんは、大学院から東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻に入学し、修士課程において、生殖細胞で、トランスポゾンmRNAの発現を抑制することでゲノム維持に働くArgonaute(Ago)の一種、ショウジョウバエのPiwiの結晶構造を決定し機能解析を行うことで、PiwiがRNA切断活性をなくすことでより強く転写抑制に働くようになったことを明らかにしました。また博士課程においては、ショウジョウバエのDicer-2–R2D2–dsRNA複合体の高分解能構造を、クライオ電子顕微鏡を用いて決定し、生化学的な解析を自ら行うことで、R2D2因子がウイルス由来の直鎖dsRNAを選択し、DicerがsiRNAをプロセシングするメカニズム、および2重らせん性の弱い方向からAgoにローディングする機構を明らかにしました。山口さんは、機能解析における粘り強さとセンスで、以上のRNA干渉におけるこれまで解かれることのなかった問題を解決し、本領域の研究を大きく前進させました。彼女は、博士取得後はアメリカに留学して、さらに研究を磨く予定であり、真に日本をリードする女性研究者として成長して欲しいと心より願っています。本当におめでとうございます。
第13回(令和4(2022)年度)日本学術振興会育志賞
https://www.jsps.go.jp/j-ikushi-prize/index.html
(文責:生物科学専攻 教授 濡木理)