DATE2022.10.28 #プレスリリース
宇宙空間で電子からプラズマの波へのエネルギー供給を直接捉えた
~効率の良い電磁波動成長の理論を観測で実証~
名古屋大学
東京大学大学院理学系研究科
京都大学
東北大学
大阪大学
発表概要
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学 宇宙地球環境研究所の北村 成寿 特任助教、三好 由純 教授、中村 紗都子 特任助教、小路 真史 特任助教は、東京大学大学院理学系研究科の天野 孝伸 准教授、京都大学生存圏研究所の大村 善治 教授と小嶋 浩嗣 教授、東北大学大学院理学研究科の北原 理弘 助教と加藤 雄人 教授、国立研究開発法人宇宙科学研究所(JAXA)齋藤 義文 教授、大阪大学大学院理学研究科の横田 勝一郎 准教授らを含む国際研究グループと共同で、アメリカ航空宇宙局(NASA)のMagnetospheric Multiscale(MMS)衛星編隊に搭載された低エネルギー電子計測装置(FPI-DES)と電磁場の計測データの解析によって、地球近傍の磁気圏外の宇宙空間((昼側)磁気リコネクション近傍、磁気シース領域)で電子がホイッスラーモード波動と呼ばれるプラズマ波動にエネルギーを供給している現場を捉え、電子から波動へのエネルギー輸送率を直接計測し波動の成長率を観測に基づいて導出することに成功しました。更に観測結果が非線形成長と呼ばれる効率的な波動成長が起きていることと整合していることが分かりました。
ホイッスラーモード波動は、磁気圏で放射線帯の相対論的エネルギー粒子加速に寄与したり、電子を散乱して脈動オーロラの粒子降り込みを引き起こしたりするなど、宇宙空間での粒子加速や散乱に重要な役割を果たしていると考えられる波動ですが、その効率的な成長が宇宙空間において直接的に捉えられたのは初めてとなり、宇宙空間での粒子加速・散乱、電磁波生成過程の理解を進展させることが期待されます。
本研究の成果は2022年10月28日18時(日本時間)イギリス科学誌「Nature Communications」に掲載されました。
図:背景磁場(紫)に沿って波動磁場(水色)が螺旋を描きながら伝搬するホイッスラーモード波動と、それとすれ違いながら相互作用する電子(赤)のイメージ(C:東京大学)
詳しくは、名古屋大学 のホームページをご覧ください。