2022/09/23

炭素質小惑星リュウグウの形成と進化:リターンサンプルから得た証拠

 

宇宙航空研究開発機構

東北大学

高エネルギー加速器研究機構

J-PARCセンター

高輝度光科学研究センター

北海道大学

東北大学

京都大学

九州大学

広島大学

東京大学

 

発表概要

小惑星探査機「はやぶさ2」により2020年12月6日に地球へ帰還したリュウグウ試料は、JAXA宇宙科学研究所に設置された施設において、初期記載(Phase-1キュレーション)が行われました。試料の一部が、6つのサブチームからなる「はやぶさ2初期分析チーム」と2つの「Phase-2キュレーション機関」へ分配されました。初期分析チームは「はやぶさ2」の科学目的達成のために専門サブチームが分担して、計画された高精度分析により、試料の多面的価値を明らかにします。Phase-2キュレーション機関はそれぞれの特徴である“総合分析”に基づき、個々の「はやぶさ2粒子」カタログを作成すると同時に、粒子の特性に応じた測定・分析により、「はやぶさ2粒子」がもつ潜在的価値を明らかにしていきます。

東北大学理学研究科中村智樹教授らの研究グループは、小惑星探査機「はやぶさ2」が回収した小惑星リュウグウのサンプル(探査機が回収した3番目に大きなサンプル(図1)を含む17粒子)を日米欧の放射光施設5か所、ミュオン施設などを利用し宇宙化学的・物理学的手法による解析を行いました。その結果、リュウグウの形成から衝突破壊までの歴史(太陽系内での形成とその位置、天体材料物質の情報、含まれていた氷の種類、天体表層および内部での水との反応による化学進化、天体衝突の影響など)が判明した。また、リュウグウサンプルには、衝突破壊前の母天体の表層付近の物質と天体内部の物質が混在していることが判明しました。さらに、リュウグウサンプルの硬さ、熱の伝わり方、比熱、密度などを実測し、この実測値を使って、リュウグウ母天体形成後の天体内部の加熱による温度変化、および衝突破壊プロセスの数値シミュレーションを行い、リュウグウの形成進化をコンピュータ上で再現しました。

図:リュウグウサンプルの分析結果から推定されるリュウグウの形成進化プロセス。天体の温度分布や年代、衝突破壊のプロセスは数値シミュレーションで求めた。

 

なお、本研究成果には東京大学からは理学系研究科、工学系研究科、総合研究博物館が参加しています。理学系からは以下のメンバーが参加しています。

橘 省吾 初期分析チーム統括、宇宙惑星科学機構/地球惑星科学専攻 教授
高橋 嘉夫 地球惑星科学専攻 教授
瀧川 晶 地球惑星科学専攻 准教授
佐藤 雅彦 地球惑星科学専攻 助教
杉田 精司 地球惑星科学専攻 教授
諸田 智克 地球惑星科学専攻 准教授
長 勇一郎 地球惑星科学専攻 助教
西山 学 地球惑星科学専攻 博士課程学生
河合 敬宏 地球惑星科学専攻 博士課程学生
吉田 英人 地球惑星科学専攻 特任専門職員
古屋 静萌 宇宙惑星科学機構 特任専門職員

 

詳しくは、宇宙航空研究開発機構のホームページをご覧ください。

 

発表雑誌

雑誌名
Science
論文タイトル
Formation and evolution of carbonaceous asteroid Ryugu: Direct evidence from returned samples
DOI番号

10.1126/science.abn8671

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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