2022/04/13

志甫谷渉助教が文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞

32

志甫谷渉助教

 


このたび、生物科学専攻の志甫谷渉助教が「細胞膜を超えた情報伝達分子の構造と機能に関する研究」により、令和4年度文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞されました。

生命の維持には情報を細胞内に伝えるシステムが必須であり、細胞膜に存在する多様な膜受容体が担っています。シグナル伝達の司令塔である膜受容体を利用することで、創薬や生命現象の操作が可能になります。

志甫谷助教は、X線結晶構造解析やクライオ電子顕微鏡を駆使して、こうした膜受容体の構造と機能を解明してきました。志甫谷助教は、血圧調整に関わるエンドセリン受容体B型の8状態の構造を決定し、内在性リガンドが受容体を活性化するしくみや、肺動脈性高血圧治療薬ボセンタンが受容体を阻害するしくみを解明してきました。この研究成果は、構造に基いたエンドセリン受容体創薬を推進するものとして、世界的に高く評価されました。志甫谷助教はさらに、過活動膀胱治療薬ミラべグロンがβ3アドレナリン受容体の狭いポケットを認識して、選択的に結合できることを明らかにしました。この研究成果は、薬理的に重要なβ受容体中で構造が未解明だった最後の種類を明らかにしたとして、世界的に高く評価されました。志甫谷助教はさらに、光を受容する微生物型ロドプシンの中で、酵素として働くものや膜への向きが反転した新しいタイプの立体構造を解明し、ロドプシンの多様性を広げる研究を展開しており、今後の研究のさらなる発展が期待されます。

主要論文:
Activation mechanism of endothelin ETB receptor by endothelin-1」Nature誌、p363~368、2016年 9月発表
Crystal structure of heliorhodopsin」Nature誌、p132~136、2019年9月発表

文部科学省令和4年度文部科学大臣賞ウェブサイト
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00989.html

(文責:生物科学専攻 教授 濡木理)

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

  • このエントリーをはてなブックマークに追加