DATE2022.03.02 #受賞・表彰
上村想太郎教授が2021(令和3)年度の中谷奨励賞を受賞
本研究科生物科学専攻の上村想太郎教授が、公益財団法人中谷医工計測技術振興財団より、医工計測技術について独創的な研究をしている研究者を対象とする中谷奨励賞を受賞されました。
上村教授は、1分子計測法を用いた生体分子機能研究分野において、国際的にも先駆的研究を進めてこられました。代表的な成果としては、1分子レベルで可視化することが可能なZero-Mode Waveguides法(ZMW法)を応用することで、背景光によって全反射照明では測定が不可能な高濃度領域においてタンパク質翻訳過程を実時間で可視化し、tRNAのリボソームへの結合様式を明らかにしたことや、タンパク質翻訳の初期複合体形成において、複数の形成経路が存在することを明らかにしたことが挙げられます。
これまで、ZMW法は次世代シーケンサー技術のひとつとして大きく貢献してきましたが、その利用はDNA配列解読に限られてきました。上村教授はこれらの技術を独自に応用することで、タンパク質翻訳反応の1分子可視化を達成した点が極めて高く評価されました。
さらに、近年「DNAバーコード分子」の配列を1分子単位で識別、空間分布情報を取得する手法を開発されました。これは、細胞内の遺伝子分布情報を網羅的かつ1分子空間解像度で取得することを可能にする成果です。
このたびの映えあるご受賞を心よりお祝い申し上げますとともに、今後益々のご活躍を祈念いたします。
上村教授と財団の家次代表理事 授賞式にて
中谷賞
https://www.nakatani-foundation.jp/business/nakatani_award/
(文責:生物科学専攻 教授 久保 健雄)