2021/12/16

生物科学専攻卒業生の加藤孝郁博士が第38回井上研究奨励賞を受賞

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加藤孝郁博士


生物科学専攻卒業生である加藤孝郁博士が第38回井上研究奨励賞を受賞しました。

加藤博士は2015年から2020年まで本研究室に大学院生として所属し、植物の液胞膜局在鉄イオン輸送体VIT1の研究を行っていました。VIT1は植物の鉄イオン恒常性に関わる重要なタンパク質であり、作物の改変などにも利用されています。また、マラリアなどの病原性原虫の宿主寄生に関わるため創薬標的としても注目されています。しかし、VIT1はどの輸送体とも相同性を示さず、その立体構造と詳細な分子機構は長きにわたり。そこで、加藤博士はX線結晶構造解析という手法を用いてVIT1の立体構造を決定し、人工脂質小胞を用いた機能解析で詳細な輸送機構も明確に解明しました。加藤博士はVIT1の原子レベルでの議論を世界で初めて発表し、この研究は植物生理分野・農業分野・医療分野と幅広い領域に関わる重要なものです。

加藤博士は2019年から低温電子顕微鏡を用いた構造解析も始め、既に複数のタンパク質の構造決定に成功しています。現在、イギリスのオックスフォード大学に研究員として所属し、電子顕微鏡を用いたタンパク質の構造解析に従事しています。このたびの受賞をお祝い申し上げますとともに、ますますのご活躍を期待しております。

第38回井上研究奨励賞
http://www.inoue-zaidan.or.jp/b-01.html?eid=00049

(文責:生物科学専攻 教授 濡木 理)

 

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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