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プレスリリース

DATE2021.11.04 #プレスリリース

哺乳類の顔を作ったダイナミックな進化過程

~哺乳類の鼻は祖先の口先だった~

 

東京大学大学院医学系研究科

東京大学大学院理学系研究科

概要

哺乳類の顔には動く鼻があり、また上あごの骨格や神経の位置関係も爬虫類や両生類とは大きく異なります。こうした哺乳類特有の顔の進化は全くの謎でした。東京大学大学院医学系研究科の東山大毅特任研究員を中心とする研究チームは、筑波大学、東京大学大学院理学系研究科、テュービンゲン大学、理化学研究所のメンバーとともに、さまざまな動物の発生過程の比較や、遺伝子改変マウスを用いた分子発生学実験、さらに化石を使った古生物学的解析など多面的な手法を持ちいてこの問題に挑みました。

その結果、これまで画一的と見なされてきた顔面の形成過程が、哺乳類において大幅に変更されていることが判明しました。爬虫類で上あごの先端部を作る発生原基は哺乳類では主に鼻を生じ、その代わり哺乳類では別の発生原基が上あごの先を作っています。

骨格や神経など、顔の構造の位置関係はこの発生原基の系譜の差を反映しており、脊椎動物進化を通じて保存されてきたと考えられてきた上あごの先の骨「前上顎骨」も、哺乳類では進化の過程で別の骨に入れ替わっていたことが示唆されました(図)。

図:今回の研究で明らかになった、顔面の進化過程

 

これらの結果は、哺乳類の進化研究の基盤となるとともに、顔面の解剖学的構造の位置関係やその発生についてのこれまでの教科書的知見を書き換えるものです。

 

本成果は、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)に10月30日に掲載されました。

なお、本研究には、地球惑星科学専攻の平沢達矢准教授が参加しています。
詳細については、大学院医学系研究科 のホームページをご覧ください。