DATE2021.09.06 #受賞・表彰
大越慎一教授(化学専攻)が オックスフォード大学客員フェローに就任
このたび、化学専攻の大越慎一教授が、オックスフォード大学の客員フェローに選出されました。オックスフォード大学における複数の研究科をはじめ、英国の国立研究所、欧州の著名な研究者らからの推薦を受け、オックスフォード大学のマグダレンカレッジにおける選考会議を経て客員フェローに就任することが決まりました。英語圏最古の大学であるオックスフォード大学は、50人以上ものノーベル賞受賞者を輩出しており、世界大学ランキングでは6年連続で1位に選ばれています。マグダレンカレッジは、オックスフォード大学を構成するカレッジの一つであり、1458年に設立された由緒あるカレッジとして知られています。学術的に最も権威あるカレッジの一つであり、毎年、世界中の著名な学者の中から客員フェローを選出し、カレッジの一員として研究を行う機会を提供しています。過去にはエルヴィン・シュレーディンガーもマグダレンカレッジのフェローを務めており、在任中にノーベル物理学賞を受賞しました。
今回、大越教授は、相転移現象に着目した画期的な新物質の創出に関する研究が高く評価され、客員フェローに選出されました。大越教授は、斬新な分子設計に基づき、これまでに湿度応答型磁性、光スピンクロスオーバー強磁性、キラル光磁性、磁化誘起第二高調波発生などの新現象を示す磁性金属錯体や光応答型の超イオン伝導体などを発見し、学術界から高い評価を受けています。また、極めて大きな保磁力を示す高性能フェライト磁石であるイプシロン型-酸化鉄(ε-Fe2O3)とその超高周波ミリ波吸収性能を発見し、応用分野にも大きなインパクトを与えており、一部は商品化されています。これらの成果は、英BBCニュースで世界的に報道されたほか、ε-Fe2O3は英国立ロンドン科学博物館(Science Museum London)にて特別展示されました。最近では、ε-Fe2O3を用いた新しい磁気記録方式の提案を行い、英エコノミスト誌(The Economist)にも取り上げられています。また、ラムダ型-五酸化三チタン(λ-Ti3O5)を発見し、金属酸化物で初めて光誘起相転移を実現すると共に、長期的に熱エネルギーを保存できる長期蓄熱セラミックスという新概念を提唱し、熱エネルギーの有効利用という観点からAFP通信を通じて世界に発信され大きな反響を受けています。これらの研究業績は、論文380編、総説140編に加え、特許出願280件に及んでおり、世界的に高い学術評価を得ています。
この度のご就任を心よりお祝い申し上げますとともに、今後の益々のご活躍を祈念致します。
(文責:化学専攻 准教授 山野井慶徳)