DATE2025.11.03 #受賞・表彰
永原裕子(髙橋裕子)名誉教授が令和7年秋の瑞宝中綬章を受章
永原 裕子名誉教授が秋の叙勲において、瑞宝中綬章を受章されました。
永原先生は、太陽系の物質進化に関し、隕石などの地球外物質の分析や再現実験、宇宙での鉱物化学反応に関する実験ならび理論研究、月や小惑星の内部分化や原始惑星系円盤化学構造の理論研究などを通じて、物理過程と化学過程を統合した宇宙科学の新たな地平を切り拓いてこられました。その代表的な成果として、始原隕石の主要構成要素であるコンドリュールが初期太陽系に存在した岩石片の再溶融物であり、その形成が瞬間的な加熱によることを示し、太陽系最初期に実際に起きた物質進化を詳細に明らかにされました。また、宇宙元素存在度から最も主要な鉱物と考えられるかんらん石の蒸発の結晶方位依存性や温度依存性を実験で求め、太陽系に限らず、原始惑星系円盤や進化末期の恒星周囲での物質進化の議論に必要な化学パラメータを決定されました。これらの世界に先駆けた成果を起点とし、多くの後続研究が生み出されています。
独創的な研究による宇宙科学の開拓のみならず、永原先生は、国際隕石学会会長など国内外の学会の要職や、文部科学省・内閣府の各種委員会の委員、日本学術振興会学術システム研究センター副所長などを歴任し、日本の宇宙科学の地位向上、宇宙探査の指針づくり、基礎科学の振興にも尽力されました。
永原先生の長年のご功労が認められ、本章を受章されますことを、先生の薫陶を受けた一人として、心よりお祝い申し上げます。
(文責:宇宙惑星科学機構/地球惑星科学専攻 教授 橘 省吾)

