DATE2025.03.24 #受賞・表彰
酒向重行准教授が「吉田庄一郎記念・ニコン天文学業績賞」を受賞

酒向重行 准教授
天文学教育研究センターの酒向重行准教授が、令和6年度の吉田庄一郎記念・ニコン天文学業績賞を受賞されました。本賞は新たな天体観測手法の研究・開発で顕著な業績を挙げた研究者を対象に天文学振興財団から年に1回授与されるもので、天文学の装置開発者にとって栄誉ある賞です。
可視光天文学では従来CCDセンサーが主流でしたが、近年のデジタル機器の普及とともに市場に広く出回るようになったCMOSセンサーがより高速な読み出しで動画も撮れるため、天文学への応用が期待されてきました。酒向先生は長年培われた天文用検出器回路の優れた技術を活かし、84個のCMOSセンサーをモザイク状に並べた大型カメラを世界に先駆けて開発することに成功し、天文学教育研究センター木曽観測所の広視野105cmシュミット望遠鏡に取り付けることで20平方度以上の天域を一度に撮像できる超広視野動画カメラを実現しました。さらに酒向先生は、大規模データの解析を視野に入れリアルタイム解析システムを構築、また取得データを学術高速ネットワークSINETを通じて柏キャンパスにあるmdxデータプラットフォームに転送し、世界中の天文学者や教育関係者、事業者に毎晩の観測データを供給するシステムを作り上げました。木曽の英雄である巴御前にちなんで「Tomo-e Gozen」と名付けられたこの時間軸観測システムにより、木曽観測所では現在も毎晩平均8テラバイトにもなる膨大なビッグデータが取得され、日本における時間軸天文学の広がりに大きく貢献しています。
こうした多岐にわたる成果が評価され、今回の受賞につながりました。ご受賞をお祝い申し上げるとともに、酒向先生の益々のご活躍を期待しております。
(文責:天文学教育研究センター木曽観測所 所長(准教授) 小林 尚人)