DATE2024.12.24 #受賞・表彰
楊井伸浩教授が「(令和6(2024)年度)日本学術振興会賞」を受賞

楊井伸浩 教授
光は分子内の電子との相互作用により生成・消滅します。光と相互作用した電子は、励起され、活性な状態になります。楊井伸浩先生は、光励起三重項状態という電子状態を用いて、フォトン・アップコンバージョンとスピン超偏極という二つの分野で先駆的かつ革新的な成果を成し遂げ、栄誉ある日本学術振興会賞を受賞されました。
フォトン・アップコンバージョンという分野では、二つの光励起三重項分子を用いて励起光より高いエネルギーの光を創り出します。楊井教授は赤外光から可視光・紫外光に至るまで多様な光を利用・発光できる分子を開発し、発光効率の向上、発光メカニズムの革新、光化学反応やオプトジェネティクスへの応用を実現し、世界を牽引してきました。
さらに光励起三重項状態の電子スピン偏極を水のプロトンの核スピンに移すことで、MRI診断で用いられる核磁気共鳴分光法の感度を向上させる新手法を開拓しました。 これらの研究は、いずれも精密な分子設計による光励起三重項状態の制御を足がかりに、物理化学、機能物質科学、光化学、バイオロジーなどの幅広い分野を跨いだ異分野融合研究です。光と電子が織りなす、未開拓で魅力的な分野が、今後も楊井教授を中心にますます発展していくことと確信しております。
この度の楊井教授のご受賞を心よりお祝い申し上げますとともに、今後益々のご活躍を祈念いたします。
第21回(令和6(2024)年度)日本学術振興会賞の受賞者決定について
(文責:化学専攻 専攻長 山田鉄兵 教授)