DATE2024.04.17 #受賞・表彰

谷中瞳准教授が令和6年度文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞

谷中瞳准教授

このたび、理学部情報科学科の谷中瞳准教授が、「理論言語学と言語処理の融合による言語理解技術の研究」により文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞されました。

大規模言語モデルをはじめとして深層学習による自然言語処理技術は飛躍的に進歩しています。しかし、否定や数量、比較、時間関係といった論理的な意味の理解や、未知の文に対して構成的に意味を理解する能力など、人のような言語理解能力の実現にはさまざまな課題が残されています。

谷中瞳准教授は、より人に近い言語理解能力の実現をめざして、理論言語学と自然言語処理の知見を融合する研究に取り組んでいます。これまでの研究では、理論言語学の構成的意味論に基づく意味解析により、解釈性の高い方法で文間の推論関係や類似性を計算する技術を開発しました。また、深層学習に基づく自然言語処理技術の汎化性能を系統的に分析するため、理論言語学の知見に基づき日本語や英語の言語的特性を考慮した評価ベンチマークを構築しました。これらの研究成果は、自然言語の性質を解釈性をもって理解しようとする理論言語学の成果と、高精度な自然言語処理を実現する深層学習に基づく手法を融合する独創的なもので、国内外で高く評価されています。

このような研究は、大規模言語モデルなど現在の自然言語処理技術の信頼性や透明性を向上させるものであり、自然言語処理が社会で活用されるために必須のものと言えます。今後のさらなる研究が期待されます。

令和6年度文部科学大臣表彰若手科学者賞
https://www.mext.go.jp/content/20240409-mxt_sinkou02-000035075_2.pdf

（文責：情報科学科　宮尾 祐介　教授）