大学院教育高度化プログラム(学部・研究科共通科目)
現代科学史概論Ⅰ(Sセメスター2単位)
使用言語
日本語
講義の趣旨
理学の本質は、宇宙、物質、生命、地球をどのように認識するかという点にある。先人が悪戦苦闘して到達した認識は、「概念」という形で、現在の理学の基礎を成している。本講義では、各専門分野における重要概念の形成過程に焦点を当て、科学史論的な立場から、オムニバス形式で分かりやすく解説する。
日程及び講義概要
8月5日(水)
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講師・講義題目 |
| 9:00-12:30 |
岡本 拓司(総合文化) 「日本から見る近現代科学史」
日本が科学を大規模に導入したのは19世紀末になってのことであるが、これは近代科学の世界に非西洋圏の国が初めて本格的に参加したことをも意味した。日本の歩みに沿って近現代科学史の展開を読み解いていく。
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| 13:30-17:00 |
長谷川 修司(物理) 「量子物理学100年とナノテクノロジー」
2025年は、量子力学の体系化の端緒となったハイゼンベルグらの論文出版からちょうど100年目にあたるので、国際連合は「国際量子科学技術年」と定めた。2026年は量子力学のわかりやすい理論である波動力学を創始したシュレディンガーの論文から100年目にあたる。量子物理学は、原子や原子核などのミクロな世界だけでなく、いまや半導体デバイスやインターネット、原子力の基礎となり、私たちの生活に密接に関わっている。講義では、量子科学技術の100年の歴史を振り返りつつ、今後の100年を占ってみたい。
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8月6日(木)
| 時間 |
講師・講義題目 |
| 9:00-12:30 |
田村 元秀(天文) 「系外惑星天文学と赤外線天文学の科学史」
ノーベル物理学賞を受けたマイヨールとケローの「太陽型星を周回する系外惑星の発見」は1995年と比較的最近の出来事であり、科学史と呼ぶには新しすぎるかもしれない。しかし、その背景には昔からの様々な光赤外天文観測技術の急速な発展があった。本講義では、多様な観測手法による系外惑星の発見と特徴づけの歴史を紹介する。さらに、現代の天文学で主導的な役割を果たしている地上及びスペースからの赤外線天文学の進展を解説し、系外惑星が光赤外次世代望遠鏡の主要なテーマになっている状況を説明する。
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| 13:30-17:00 |
茅根 創(地惑) 「地球温暖化——予測(prediction)から投企(projection),緩和,適応へ」
地球温暖化は、1980年代以降、自然科学の課題から政治・社会を含む地球規模問題へと展開した。我が国では「温暖化予測(prediction)」と訳されてきたが、IPCCでは将来像を選び取る能動的概念としてprojectionが用いられている。本講義ではこれを「投企」と捉え、地球温暖化が予測科学から人類の選択の問題へ移行した過程を科学史的に考察する。
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8月7日(金)
| 時間 |
講師・講義題目 |
| 9:00-12:30 |
久保 健雄(生科) 「ハチ目昆虫を用いた社会性行動と高次脳機能研究の科学史」
Karl von Frisch(1973年ノーベル生理学・医学賞受賞者)によるミツバチの「8の字ダンス」の発見に代表されるように、ハチ目昆虫が示す高度な社会性行動や高次脳機能、コミュニケーション能力は、行動生物学、認知科学、神経科学、進化学等の分野で格好の研究対象とされてきた。本講義ではその歴史と今後の発展を展望する。
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| 13:30-17:00 |
山内 薫(化学) 「原子・分子・電子・光・量子」
原子・分子の性質を調べるために電子や光が如何にして活用されてきたかを紹介する。そして、光の時間幅を短くし、かつ強くすることによって、分子が特異な振る舞いをすることや、原子や分子から生み出された電子が新たな光を生み出すことを紹介する。そして、時間幅が短い光を利用して、エネルギー分解能が極めて高い分光計測ができることを紹介する。さらに、原子イオンの光学遷移を活用して量子演算ができること、そして、原子イオンの持つ量子情報を使って高分解能計測が可能であることを紹介する。
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場所
オンライン講義(Zoom)を実施します。
詳細はUTASのシラバスを参照してください。
履修登録
履修を希望する学部生及び大学院生は、Sセメスターの履修登録期間にWEB上(UTAS)で申し込んでください。【科目番号:0590041(学部生)/35620-4001(大学院生)】
成績評価
各講義のレポートまたは小テストの評価により行います。各講義は、前半に講義、後半約30分でレポートまたは小テストを実施します。