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活動報告

活動報告(2019年度)


2020年3月1日~3月11日
本学工学系研究科機械工学専攻の学生2名をブラジルに派遣

本学工学系研究科機械工学専攻の学部学生2名が、ブラジルのペルナンブコ連邦大学で実施されたProject-Based Learning (PBL:課題解決型学習)に参加しました。PBLでは現地の学生と協働で課題に取り組み、学生同士は知らないことについて活発に議論し、実際に手を動かしながら最適な解決策を探りました。

派遣学生からの感想

答えのない問題に対して、どのようなアプローチで取り組むかを考え、色々な人と議論を重ね、最終的になぜそのようにしたのかということをプレゼンするという流れを体験できたことは、今後の研究や仕事で必ず役立つと思います。また、日本とは全く異なる文化に触れることも新鮮であり、今後世界の人と交流をしていく貴重な一歩となりました。自分には世界について知らないことが沢山あり、それらについて考える良い機会となりました。

私は、英語に自信がありましたが、研修中は自分の英語の会話能力がいかに低いかを痛感しました。パッと言いたい単語が出てこなかったり、文章がうまく構成できなかったり、自分の言いたいことを伝えられないことが多かったです。もっと英語力があれば、色々なことを話せて、もっと楽しめたと思います。今回は、初めての海外でしたが、次回行くときのためにも英語の勉強を頑張ろうと思います。

予定されていたサンパウロ大学でのPBLは新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となり、代わりに大学の研究室の見学を行いました。学生は、サンパウロ大学でのPBLの内容に非常に興味を持っていたので、少し残念だったようですが、みんなと楽しい時間が過ごせ、ブラジルについて沢山知ることができたとのことです。また機会があれば、是非参加したいとの希望も聞かれました。

以下、本プログラムを担当された本学大学院工学系研究科機械工学専攻の鈴木雄二教授からのコメントになります。

ブラジルと日本では,南半球と北半球の違い以上に様々なことが異なっており,ある意味補完的でもあります。バイオエタノールや海底油田などに関するエネルギー分野,航空機分野では日本よりも先んじています。 ブラジルは、アメリカ以上に人種のるつぼですが,日系人は比較的少数派ながらも学術分野では大きな割合を占めています。この度のPBLでは,そのようなことも肌で感じられたのではないかと思います。このプログラムを通じて,私自身はサンパウロ大学を中心として多くの研究者と知り合い,具体的な共同研究もいくつかスタートすることになっています。現在、ブラジルでは新型コロナウイルス感染症が深刻な状況であり,しばらくは交流を中断せざるを得ない状況ですが,再開できるまでは引き続きオンラインでの議論などを通じて交流を続けて行きたいと考えています。
ペルナンブコ連邦大学の学生と派遣学生
グループワークの様子
PBLの参加者と派遣学生


2020年1月31日~2月29日(於 本学地震研究所)
2020年2月28日~3月22日(於 チリ・カトリカ大学)
本学地震研究所とチリ・カトリカ大学で学生の相互交流を実施!

本学地震研究所の佐竹研究室にて、チリ・カトリカ大学の学生1名を受け入れました。学生は、佐竹教授の指導と研究室の学生らのサポートをうけながら、チリ沿岸で記録された津波波形の解析に関する研究をおこないました。佐竹研究室では津波波形の解析に関する実績が多く、学生は新しいアイデアや視点を得ることができ、研究の視野を広げることができた様です。受入学生からは、学生同士の情報共有を通じて、相手の研究手法について理解することができたとの報告があり、引き続き高いレベルをもつこのネットワークを活かしながら、将来は地震研究所のポスドクとして、担当教官や本学学生たちと研究を続けたいとの希望がでました。

受入学生がチリに帰国した同時期に、本学地震研究所の学生1名をチリ・カトリカ大学へ派遣しました。南米で発生した巨大地震による津波は、太平洋を伝播して日本で記録されたり,被害を生じることがあります。派遣学生は、このような遠地津波の性質および津波による港湾の共振現象について、この度の訪問を通じて現地の研究者から貴重な情報を得ることができ、自身の研究を前進させることができました。この学生は、2019年10月末にもチリを訪れましたが、チリの非常事態宣言発動のため、滞在半ばでの早期帰国を余儀なくされました。この度の再派遣は、現地の研究者や学生との交流を通じて自身の学術研究を深化させる大変良い機会となりました。学生は、今後も研究を続けることで、この分野での国際的なエキスパートになりたいそうです。

なお、チリ・カトリカ大学の統合災害リスクマネージメント研究センター(CIGIDEN)と本学地震研究所は、様々な資金を活用し、太平洋を伝播して対岸に影響を及ぼす津波に関する共同研究を行っており、これまでに3編の共著論文を出版いたしました。
今後も、これまでの培ってきた関係性を基盤として、若手人材の育成を目的とした学術教育交流を継続していく予定です。

チリ・カトリカ大学からの受入学生
チリ・カトリカ大学での受入学生(奥)と派遣学生(手前)
大学の研究室の学生と本学学生(左から3番目)


2020年1月13日~3月13日
本学工学系研究科航空宇宙工学の研究室でチリ大学の学生3名を受け入れました!

本学工学系研究科航空宇宙工学専攻の中須賀研究室に、チリ大学の博士課程の学生2名(航空宇宙工学専攻、電気工学専攻)と修士課程の学生1名(コンピューターサイエンス専攻)を受け入れました。
学生らは、中須賀・船瀬研究室(Intelligent Space Systems Laboratory)で衛星の姿勢シミュレーターの使用方法の習得や開発等に携わりました。また、研究室で進める衛星搭載及び衛星シミュレータ用のソフトウエアの開発にも参加しました。

学生らは当初、自分の英語力や仕事のレベルの高さに不安を感じていましたが、指導教官や本学学生との作業を通じて、人前で発表することを経験し、英語で話すことに自信がついたようです。加えて、本研修を経て得ることのできた技術やアイデアが自身の研究の質を高めることになり、さらに今後それらを改善していくとのことです。
また滞在中、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の見学を行ったことや研究室での学生や研究者との会話は大変心に残ったそうです。

博士課程の学生らは、将来本学にポスドクとして滞在することや海外でのインターンシップへの挑戦も視野に入れており、修士課程の学生は、本学での博士課程への進学を考えるようになったとのことです。

*受入学生3名の研修について、チリ大学でも紹介されました!(スペイン語

以下、本プログラムを担当された大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻 中須賀真一教授からのコメントになります。

チリ大学とは、チリのパタゴニアで開催したSEELA主催の日本チリ学術フォーラム2016での私の講演がきっかけでご縁ができ、それ以来、宇宙惑星科学分野のMarcos Diaz教授の研究室との交流を続けています。チリは本学天文学教育研究センターのTAOプロジェクトを始め世界中の天文台があつまる天文観測のメッカとして、科学観測機器の研究開発が非常に盛んで、我々の超小型衛星に彼らの開発する機器を載せて宇宙科学をしようとDiaz教授と相談しています。チリ大学のこの研究室はソフトウエア開発の技術力も高く、今回受け入れた学生3名も非常に優れた能力をベースに大きな貢献をしてくれました。異なる専門分野やExpertiseを持った研究室間の国際的な交流は非常に魅力的で、学生や教員にも大きな刺激となります。その橋渡しをしてくれたSEELAに深く感謝するとともに、今後もこのような交流ができる支援が得られることを強く希望します。
チリ大学からの受入学生
中須賀研究室のメンバーと受入学生
JAXAの見学


2019年10月25日~11月25日
チリ大学でのスロー地震のミニ研究会に本学学生1名が参加しました!

10月28日~30日、チリ大学でスロー地震のミニ研究会(1st International Workshop on Slow and Fast Earthquakes)が開催されました。本学理学系研究科地球惑星科学専攻の井出教授と学生1名が本研究会に参加し、現地の研究者や学生らと自身の研究について活発な議論と意見交換を行いました。また、この度得られた成果は、米国地球惑星物理学会で報告されました。

1st International Workshop on Slow and Fast Earthquakes

学生は研究会後も引き続きチリに滞在して、National Seismological Centerの訪問やチリ大学の学生と共に南部パタゴニア地方でのフィールドワークなどを行いました。派遣学生からは、異なる文化を背景にもつ人との交流が、将来自身の色々な場面で活かせるとの感想が聞かれました。今後は機会があれば、より長く滞在して、更に深い議論をメンバーと行いたいとのことです。

派遣学生(右から4人目)とチリ大学の学生
チリ大学の学生とのパタゴニア地方でのフィールドワーク


2019年9月8日~9月30日(於 株式会社大島造船所)
2019年10月4日~10月20日(於 海上技術安全研究所)
2019年10月6日~12月27日(於 本学大学院海洋技術環境学専攻海洋空間計画研究室)
日伯海洋開発教育プログラムのインターンシップにブラジルの学生が参加しました!

9月、ペルナンブコ連邦大学の修士学生が、長崎にある株式会社大島造船でインターンシップをおこないました。学生は、船体の構造設計のプロジェクトに参加して、数値解析法を使用しながら作業を進めました。
当初は、職場環境や言葉の壁が心配だったようですが、休日も造船所の方々と過ごす中で、徐々にコミュニケーションを図っていったようです。休憩時間には、積極的に意見交換をおこない、それが心に残ったとのことです。この度の滞在が、将来つきたい仕事について考える良いきっかけとなったとの感想が聞かれました。

大島造船所での学生(前列の右から5人目)
休日のバーベキューの様子

10月、サンパウロ大学、カンピナス大学、リオデジャネロ連邦大学、サンタカタリーナ連邦大学より学生が来日して、国立研究開発法人海上技術安全研究所でのインターンシップに参加しました。また、学生らは、10月15日に開催されたSEELA総括会に出席し、同日に行われた「UTokyo-USP Workshop on Ocean and Energy Engineering」でインターンシップの実施報告をしました。

【学生の感想】

深海工学グループに所属した学生:
インターンシップを通じて、素晴らしい技術と最新のテクノロジーに触れることができた。SEELA総括会のワークショップで、自らの研究についてみんなの前で発表する機会が得られて大変良かった。

試験水槽を用いた実験に参加した学生:
以前より、世界レベルの試験水槽を使ったプロジェクトに関わることや日本の特有な文化にも触れることに興味を持っていた。スーパーバイザーの指導のもと、400m試験水槽を用いた実験をおこなった。また、東京大学の博士課程の学生とパートナーを組んで、会議を重ね解析を行い、実験のトピックや情報についての発表をした。プログラムのすべての内容に非常に満足した。

深海海盆のグループに所属した学生:
チームの仲間から必要なサポートをうけながら、一緒に実験を進めることができた。機械的性質の検査や深海採鉱の実験・分析をおこなった。滞在の終盤には、SEELA総括会のワークショップで、インターンシップでの活動を発表した。この度の経験を通じて、海洋工学の分野で更に実験をおこなっていくことに興味がでてきた。

海上技術安全研究所でのインターシップの様子
インターンシップ生と担当教員

10月から12月までの約3ヶ月間、サンパウロ大学海洋工学専攻の博士課程の学生が本学大学院海洋技術環境学専攻海洋空間計画研究室で研修を行ないました。自身の博士論文を進めながら、風車用の解析コードの使用法などを習得する一方で、三鷹市にある国立研究開発法人海上技術安全研究所での2週間のインターンシップ、福島洋上風力コンソーシアムの訪問、日本船舶海洋工学会への出席など活発な研究活動を実施しました。また、本学研究室では、修士課程の学生の指導にも携わりました。
学生からは、訪問先で目にした技術は、想像していたものよりずっと素晴らしいものであったとの感想が聞かれました。

学会でのポスター発表
海上実習の様子


2019年10月15日
SEELAシンポジウム2019総括会を開催しました。

本事業は、今年度が最終年度となります。
その締めくくりの会として、SEELAシンポジウム2019総括会を本学理学系研究科にて開催いたしました。

小柴ホールでの全体セッションでは、チリ共和国大使館Catalina Barcelo Zegpi一等書記官、ブラジル連邦共和国大使館教育協力部Leandro Diaz Napolitano 部長、白波瀬佐和子本学理事・副学長がご挨拶を述べられ、武田洋幸本学理学系研究科長より本事業のこれまでの交流内容や成果などが紹介されました。

つづいて、Kazuo Nishimoto教授、Marcos Diaz教授、梶田隆章教授よりご講演をしていただきました。 招待講演会には、様々な分野の研究者や学生にご参加いただきました。参加者は普段はあまり聞く機会の少ない自身の研究分野以外のテーマについて、興味深く聴講しており、質疑応答の時間には活発な意見交換が行われました。

招待講演:

白波瀬佐和子 本学理事・副学長
武田洋幸 本学理学系研究科長
Nishimoto教授の講演会での質疑応答の様子
Diaz教授の講演の様子
梶田教授の講演の様子

同日午後には、本学理学系研究科の講義室に場所を変えて、パラレルワークショップを実施しました。素粒子物理、観測的宇宙論、宇宙工学、海洋工学、エネルギー工学の多分野にわたるワークショップでは、チリとブラジルから招聘した研究者や学生が自身の研究について発表をおこない、本学からの参加者も含めて活発な意見交換が行われました。
初めて日本を訪れたチリ大学物理学科学部4年生の学生は、本ワークショップでみんなの前で研究発表を行ない、出席していた研究者がすべての質問に答えてくれたことが大変心に残ったそうです。
また、海洋工学のワークショップに参加したブラジルのカンピナス大学修士課程の学生からも、同時期にインターンシップを行っていた海洋技術安全研究所での経験をみんなの前で話す機会を得ることができ大変良かったとの感想が聞かれました。
パラレルワークショップのプログラムはこちら

夕刻には、レセプションを兼ねた懇談会を開き、大久保 達也本学工学系研究科長がご挨拶を述べられました。ここでは、参加者が分野に関わらず各自の研究や大学について質問をしあうなど、和やかな雰囲気の中で会話もはずんだようです。会の終盤には、ブラジル、チリ、日本のグループに分かれて、各国の代表的な歌を歌いました。最初は照れていた方も、最後は笑顔で歌いきっていました。

本事業の残りもわずかになりましたが、これまで培ってきた学術交流の基盤とつながりを活かしながら、双方向での活発な交流を実施していく予定です。

チリ大の学生(素粒子物理のワークショップ)
エネルギー工学のワークショップの様子
国の代表歌を披露するブラジルチーム(左)とチリチーム(右)


2019年10月8日~10日
日伯での遠隔講義についてONLINE LEARNING 2019で発表をおこないました!

平成28年(2016年)4月より4年間、本事業の日伯海洋開発教育プログラムでは、日本4大学とブラジル5大学の計9校をオンラインでつなぎ、授業を提供する遠隔講義を毎年実施してきました。
日本では午後8時、ブラジルでは午前8時から船舶海洋工学、海底資源開発工学などの授業を行いました。授業は各大学でその大学が提供する授業として登録されており、単位が取得ができます。本講義には毎年度、日伯で150名~200名程の学生が参加しました。

日本では夜が遅く、ブラジルでは朝が早く実施される講義だったので学生にはそれなりの負担がありしたが、参加した学生からは、以下の感想が聞かれました。

  • 相手国特有の先端技術(ブラジルの海底油田開発の経験や技術、日本の先端的の造船技術)に触れることができた。
  • 使用言語である「英語」に困ることがあるが、授業内容に興味があるので出席した。
  • 授業内容が充実していた、交換留学のような刺激を受けた。

上記のような学生の反応や教員からのフィードバックに加え、これまで実施した遠隔講義の概要や改善点などについて、2019年10月、本学大学院新領域創成科学研究科の佐藤徹教授がカナダのトロントで開催された国際会議「ONLINE LEARNING 2019」で発表を行いました。

Design, implementation, and improvement of Brazil-Japan collaborative remote education program on naval architecture and offshore engineering

以下、本プログラムを担当された本学大学院新領域創成科学研究科 佐藤徹教授からのコメントになります。

4年間続いた日伯9大学での遠隔講義は、大変好評のうちに無事終了しました。実験的な試みでしたが、各大学の教員、学生からもよい評価を受け、成功裡に終了したと思います。
宿題の発表では、オンラインでつながっている他校を前に発表するので、参加した学生はよく準備をしており、積極性が出ていました。また、レポート発表等で各校が活発に競い合うようになっており、他の教員からも、学生から高いモチベーションが感じられたの意見がありました。受講した学生は、お互いの国の事情・文化・ものの考え方に触れることができ、相互理解や国際性が高まったように思います。
2020年度からは、これまでの成果が評価されて日本財団より資金援助を得ることが決まり、相手大学の協力も得ながら4科目を継続して実施することになりました。
実施した遠隔講義の画面



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