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学生たちの声

物理学で世界を体験・解明する

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物理学専攻 博士課程1年生

ホー・シーウェン

Shihwen Hor

FROM

北京大学(北京,中国)

出身地:台北,台湾

GSGCに参加するまでの道のり

台湾以外の国での生活を見てみたいと思い、中国の北京大学で4年間勉強し卒業した後、さらにほかの国での生活を経験したいと思うようになりました。友人から、日本の大学には日本語を必要とせず、英語で授業を行う大学院があると聞きました。そのようなプログラムを探していたところ、東京大学理学部のホームページで「グローバルサイエンス大学院コース(GSGC)」を見つけました。

東京大学は世界的な大学で、理学部には素晴らしい教授陣が揃っており、私が専攻していた理論素粒子物理学の研究グループが多くあることに惹かれました。物理学の各教授の専門分野を調べ、GSGCを志望し、素粒子論研究室の中から、主に現象論を研究している濱口幸一教授の研究室を志望することに決めました。

私は濱口教授にメールを送り、自分の研究テーマが教授の研究とどのように一致するかを説明して、学生になれるかどうかを尋ねました。超ひも理論など、より理論的なことを専門とする研究者もいますが、私は実験で理論を確かめることができる現象論の研究をしたいと思っていました。濱口先生とはメールやスカイプでやりとりをして、自由に議論できるし、とても良い印象であったので、一緒に仕事をしてみたいと思ったのです。

GSGCに合格したことを知ったときは、とても興奮しました。東大には他にも英語で学べる大学院がありますが、ほとんどが奨学金を持っていないので、合格後に奨学金を申請する必要がありました。GSGCの学生には毎月奨学金が支給されるので安心です。経済的にも余裕があるので、勉強に集中することができました。特に父は研究職に就いており、私が研究者になるためには何年もかけて各地を転々とする必要があることを理解していましたので、両親もGSGCへの参加に賛成してくれました。

観光客から住民へ

大学院に入学する前に、日本では北海道と大阪に行ったことがありました。東京は未体験でしたが、漫画で「東京はとても大きくて人が多い」ということは知っていました。しかし、GSGCの学生としてこちらに来てからの半年間は、本郷キャンパスの寮にいて、研究に集中しなければならないと思っていたので、あまり街を見ていませんでした。また、日本語にも自信がありませんでした。

私たちの研究グループには他にも多くの外国人研究者や学生がいるので、まだカルチャーショックを受けていません。来たばかりの頃は、研究室の学生であるチューターのサポートによって、携帯電話の取得、銀行口座の開設、区役所への住所登録などを行いました。

また、物理学専攻が提供する「新入留学生のための日本語講座」を1学期受講しました。その講座を終えてから工学部の日本語講座に参加しました。パンデミックの影響で講義はオンラインで行われています。1クラスは10人程度なので、先生やクラスメートと日本語でたくさん話すことができます。

チャレンジングであるほど良い

GSGCの一番の魅力は、自分のやりたい研究ができることです。私は、理論素粒子物理学(理論高エネルギー物理学とも呼ばれる)の研究をしています。この分野では、世界がどのように機能しているかを説明するために、最も基本的な粒子とその相互作用を調べます。この分野の研究者は、素粒子物理学の標準モデルを拡張し、それを実験で検証しようとしています。例えば、ヨーロッパにはLHCという大型ハドロン衝突型加速器があり、現在はここで主に実験が行われています。また、宇宙観測によってモデルを検証することもできます。例えば、高次元の時空を持つモデルでは、何か特殊な時空構造が現れ、その結果、重力波が発生するかもしれません。一方で、標準モデルでは暗黒物質を説明できません。QCDの強いCP問題を解決するアクシオンは、暗黒物質の候補の1つです。アクシオンが存在すれば、それが検出されるかもしれません。

現在、私が取り組んでいるのは、大統一理論(GUT)です。標準理論では、強い力、弱い力、電磁力の3種類の力が存在します。GUTは、この3つの力を統一し、クォークとレプトンを統一するモデルです。統一は、物理学の大きな目標の1つでした。例えば、過去には電気力と磁力の統一や、電磁相互作用と弱い相互作用の統一などがありました。GUTにはまだ多くの問題があります。というのも、すでに多くのモデルが存在し、実験ではなかなか検証が難しいため、より良いモデルを作ることが難しくなっているからなのです。しかし、こうした課題があるからこそ、私は物理学に興味を持ち、この分野で働きたいと思っています。

私たちの研究グループでは、学生が本や論文について議論するセミナーがよく行われます。自分の研究に近いことを学べるだけでなく、学生同士のコミュニケーションが深まり、質問もしやすくなるので、とても助かっています。また、GSGCには2人目の指導教官がいて、他の教授から学ぶことができます。2人目の指導教官は別の研究室の方でも構いませんが、私の2人目の指導教官である諸井健夫教授は、同じ研究室で理論素粒子物理学の研究をしています。

COVID-19での外国人大学院生としての生活

私たちの研究グループは理論研究が中心なので、実験をする必要がありません。研究はすべて自宅でできるので、セミナーやミーティングはオンラインで行うようになりました。寮にいると研究に集中できないこともあるので、普段は週に1〜2回程度キャンパスに来ています。

普段のZoomミーティングの様子。素粒子論研究室は頻繁にミーティングを行い、研究内容を共有して議論しています。

まさかパンデミックが起こるとは思っていなかったので、1年間研究したら、十分な研究成果を得て海外の学会やワークショップに参加できるだろうと思っていました。幸いなことに、すべてがオンライン化されていたので、いくつかの講演や発表を行うことができました。

また、パンデミックの影響で、自宅からオンラインで修士論文審査を行うことになりました。プレゼンテーションの部分はそれほど難しくなかったと思います。3人の委員からの質問に対し、わたしはとても緊張していましたが、それに関連することや自分の考えを説明することができました。これは、すでに多くのワークショップでプレゼンテーションを行っていたおかげです。

日本文化のファン

日本の漫画が好きで、よく漫画に関連する商品を買ったりしています。私が漫画を読み始めたのは小学生の頃でした。最初に読んだのは「NARUTO」で、その後「BLEACH」や「ONE PIECE」などを読んでいきました。今は「呪術廻戦」と「鬼滅の刃」を読んでいます。

また、私は本郷キャンパスの剣道部に所属しています。剣道を始めたのは北京にいたときです。日本に来たばかりの頃、剣道は日本から来たものだから、東京大学にも剣道部があるのではないかと思っていました。クラブのホームページを見てみると、日本語でしたが、漢字はわかりましたし、意味もだいたいわかりました。私はクラブにメールを送り、入会することができました。最初のうちは、クラブのメンバーは皆、私と英語で話そうとしていましたが、私が日本語を学び始めてからは、徐々に英語と日本語の両方で話すようになりました。

GSGC後の予定

博士号を取得した後も、将来的には研究を続けたいと思っています。まずはポスドクをして、数年後には研究者や助教授になれる場所を探すことになるかもしれません。できるだけ多くの場所に行ってみたいので、ヨーロッパや北米で仕事を探してみるのもいいかもしれません。

これからGSGCに留学する人へのアドバイス

理学部は学生にとって非常に良い研究環境を提供してくれますし、GSGCも日本語やその他の情報を提供してくれます。応募するのであれば、本当に一緒に働きたいと思える指導教官を見つけることが最も重要だと思います。GSGCは研究にも力を入れているので、研究能力も高い方がいいでしょう。

※2021年取材時 文/粟津クリスティーナ(日本語訳:武田加奈子)、写真/貝塚純一

物理学専攻 博士課程1年生
Shihwen Hor
ホー・シーウェン
台湾の台北出身のShihwenは、中国の北京大学で物理学を学んだ後、東京大学大学院理学系研究科に進学することを決め、2019年にグローバルサイエンス大学院コース(GSGC)に参加しました。2021年に修士課程を修了したShihwenは、物理学専攻の素粒子論研究室の博士課程の学生として現在も研究を進めています。
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