研究展示
臨海実験所にある歴史的なお宝 衆鱗手鑑残欠・三崎本
東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所(以下、三崎臨海実験所)には、讃岐高松藩主松平頼恭が江戸中期(18世紀中頃)に作らせ、1762年(宝暦12年)に第10代将軍徳川家治に献上した図譜「衆鱗手鑑」の原本や転写本に極めて近いと言われているものがあります。
これまで原本は行方不明で、目録の写しだけが松平家に残っているとされていました。三崎臨海実験所にある4枚は、ほかの28枚と共に、米国コロンビア大学のバシュフォード・ディーン(Bashford Dean)教授が入手して、同大学に寄贈したものです。三崎臨海実験所の小林英司8代目所長がその一部を譲り受け、当実験所に寄贈されました。こうして、4枚が日本に里帰りすることとなったのです。
2007年の三崎臨海実験所120周年記念のおりに、出席者の磯野直秀慶應義塾大学名誉教授が見つけて精査され、高松藩の衆鱗手鑑の原本や転写本に極めて近い作例である事が明らかにされました。
文責
臨海実験所、2022年