研究展示
超高圧発生装置「ダイヤモンドセル」(DAC)の模型
地球内部の層構造
地球の内部は高圧と高温の世界です。われわれは地下およそ200kmよりも深い部分の物質を自然界で得ることがほとんどできません。代わりに、実験室で地球深部に相当する高圧高温の環境を作り出し、地球内部を構成する岩石(鉱物)や金属の性質を理解する研究が行われています。高圧を発生する装置はいくつか存在しますが、ここに切断模型を展示しているダイヤモンドセルは、先端をわずかに平らにした富士山型の2つのダイヤモンドの間に実験試料を挟み込んで加圧することにより、地球中心を超える圧力(約400万気圧)を作り出すことができます(ダイヤモンドは最も硬い材料)。さらにダイヤモンドを通して試料にレーザー光を照射することにより、5000度以上まで加熱することが可能です。このような実験により、今では地球内部のあらゆる物質を実験室で合成することができます。固体地球科学の最前線を切り拓く研究は、地球内部の層構造を解明してきました。最近では地球内部のみならず、水星・火星・ガス惑星(木星、土星)・氷惑星(天王星、海王星)の内部の研究も盛んになりつつあります。
文責
廣瀬敬(地球惑星物理学科/地球惑星環境学科・教授)、2024年