Science GalleryThe University of Tokyo

研究展示

小石川植物園で活躍した研究者:牧野富太郎

植物園にあった植物学教室で撮影された牧野富太郎

東京大学大学院理学系研究科附属植物園小石川本園(通称:小石川植物園)は、1877年の東京大学設立当時から植物学科の研究の場として利用されてきました。1886年に帝国大学理科大学の管理下となり、1897年に植物学教室が本郷より移転されてからは、園での研究はますます活発になりました。

土佐出身の牧野富太郎(1862–1957)も小石川植物園で研究を行った一人です。彼は1884年に東京大学理学部教授だった矢田部良吉と面会し、その植物知識の深さから植物学教室への出入りを許され、1893年から1939年まで同教室に在籍しました。

牧野は1500種以上の植物の記載に関わり、日本の植物分類学の礎を築いた一人です。『植物学雑誌』や『植物研究雑誌』などの学術雑誌を刊行したほか、植物図鑑の基となる『日本植物志図篇』など多数の著作を残し、植物学の普及にも大きく貢献しました。

植物を描く名手でもあった牧野は、植物の特徴を精密な植物図と共に記しました。ここに展示されている『牧野日本植物図鑑』(1940年刊行)は、牧野が78歳の頃の著作で、日本の野生植物3206種を図解した牧野の研究の集大成です。

文責

附属植物園、2023年