研究展示
TAO望遠鏡の主鏡に使用されたホウケイ酸ガラスとTAO望遠鏡の模型
東京大学アタカマ天文台(The University of Tokyo Atacama Observatory: TAO)計画は、チリ共和国・アタカマ地方にある標高5640mのチャナントール山頂に口径6.5mの大型赤外線望遠鏡を建設・運用する計画です。世界で最も高い場所にある天文台としてギネス世界記録に認定されています。
TAO計画は、遠方宇宙から太陽系まで幅広く天文学・天体物理学における最先端の研究を行うのみならず、大学による次世代研究者育成もその大きな目標としており、開発・観測研究の両面で若手の育成に力を入れています。また日本の競争力・発信力を高め、リーダーシップを発揮するのにも重要なプロジェクトです。
2024年4月にはチリ共和国の首都サンティアゴにてTAO望遠鏡サイト完成記念式典を開催しました。このギャラリーでは、主鏡の設計・製作を委託しているアリゾナ大学から式典の開催を祝って贈呈されたホウケイ酸ガラス(オハラ社E6)のガラス片を展示します。口径6.5mの主鏡は、強度を保ったまま重量を減らすため、このホウケイ酸ガラスを用いてハニカム構造(六角形を寄せ集めた蜂の巣の構造)で作られています。TAO望遠鏡の模型と合わせてご覧ください。

完成後のTAO望遠鏡用口径6.5m主鏡。中央に吉井讓プロジェクト代表。その左にPeter Strittmatterアリゾナ大学教授 (アリゾナ大学でのTAO主鏡製作の責任者)。右にBuell Jannuziアリゾナ大学・スチュワード天文台長。主鏡製作・試験他に尽力した数多くのアリゾナ大学エンジニアとともにアリゾナ大学ミラーラボにて撮影。

チャナントール山頂に完成した東京大学アタカマ天文台 (TAO) の山頂施設。右はTAO望遠鏡を過酷な自然環境から守るエンクロージャー棟。エンクロージャーの上部は水平回転し、開閉扉(スリット)を通して天体を観測する。左はTAO望遠鏡の科学観測とメンテナンスを遂行するための設備を持つ観測運用棟。観測運用棟の2階には蒸着設備が設置され、口径6.5mの主鏡を洗浄・蒸着する。

TAOは標高5,640メートルのチャナントール山頂にあり、大気中の水蒸気が少ないことから、ほかの天文台では観測が難しい赤外線も観測できる。
このページの写真はいずれも東京大学TAOプロジェクト提供
https://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/TAO/
文責
東京大学TAOプロジェクト、2025年