理学部1号館東棟の設計が固まり3期工事が始まる

理学部1号館(第3期工事)完成予定図
理学部1号館3期(東棟)工事が, 2013年度の概算要求で認められ,現在,建物プランの検討が急ピッチで進んでおります。理学部1号館のキャンパス計画は,理学部旧1号館の老朽化および狭隘化を解消し,あわせて分散していた理学部の建物を少しでも「中央化」すべく,20年以上も前に3期に分けた工事計画が立案され,第1期(西棟)が1998年に,また第2期(中央棟)が2005年に完成し,今回の第3期(東棟)の建設で完了いたします。3期工事の日程は,2013年12月から旧1号館の取り壊しを行い,2014年6月頃から東棟(地上8階地下2階)の建設を着工し, 2016年3月には完成の見込みです。
さて東棟では,今後の理学部・理学系の長期的な教育研究の発展を考えて,いくつかの新しいコンセプトがあります。まず,理学部・理学系研究科の総合図書館を設置し,さらに講義室を拡充することで,教育棟としての機能を強化することです。総合図書館では,これまで専攻ごとに分かれていた図書を可能な限り一箇所に集めることで,幅広いサイエンスの知識や情報が気軽に触れられる場とすると同時に,学習の場,国際的な知的コミュニケーションの場としての機能を強化することを目指します。講義室の拡充としては,本郷・浅野キャンパスに分散している学部・大学院の講義やセミナーなどをハブ的位置にある1号館でも受講できるようにするとともに,駒場での進学振分けが決まった後の講義(現行の4学期)も本郷キャンパスで開講できるよう,150席程度を収容できる大講義室から50席程度の小講義室までを用意します。図書館と講義室などの整備によって,より一層の教育棟としての機能が充実するものと考えています。
東棟の次のコンセプトは,オープンラボラトリーを設置することです。理学部・理学系の共通スペースとして,外部資金獲得等による最先端プロジェクト研究など,多様なプロジェクト研究などに柔軟に対応できる実験ラボを設置し,不足している実験室スペースを確保することにあります。これらは共通性を高めるために,乾式および湿式の二つの基本仕様で,地下1階および上層階フロアーに配置します。理学系の多くの研究者が,機動的に研究を展開できるように,5年単位での利用貸出しを考えています。
赤門近くの理学部2号館と浅野キャンパスの理学部3号館に分かれる新生物学専攻(生物科学専攻と生物化学専攻)に対して,物理・化学・宇宙地球科学系と関連する研究部門などで,教育研究展開のスペースを東棟に配置するのもコンセプトのひとつです。ただし,これは暫定的なものであり,生物・生命関連の将来構想は,本部におけるキャンパス再開発・整備に沿って,理学部2号館を新築し,理学部2号館新棟を,東京大学の生命科学の拠点(バイオエボリューション総合教育研究棟)として位置づけるべく,計画が進められる予定です。
今回の3期工事で念願の理学部1号館の整備が完了します。しかし旧1号館にも色々と大切な宝がありました。たとえば,アインシュタインのエレベーターと呼ばれる蛇腹扉のエレベーター(アインシュタインが来日したときに乗ったと言い伝えられているもの)があります。これは東京大学総合研究博物館によって,丸の内のインターメディアテク (IMT) で保存・展示される予定です。そのほか,ドイツ表現主義の影響を受けた半円形の窓や手摺もありますが,レリーフや外壁デザインなどでこれらが東棟に生かされるように調整中です。