第11回理学系研究科諮問会の開催

副研究科長 福田 裕穂(生物科学専攻 教授)

図1

諮問会の風景

図2

地球惑星科学専攻研究室見学の様子。吉川一朗准教授(左)と井出哲准教授(右)による説明。

平成23年度の理学系研究科諮問会は, 2012年3月5日(月)に開催された。前年度の第10回諮問会は,2011年3月11日午後に開催されたが大地震のために中途で終了した。今年度は,そのようなことのないようにと祈りつつ,会が始まった。参加諮問委員は,岡田清孝委員(自然科学研究機構基礎生物学研究所所長),小間篤委員(秋田県立大学学長),鈴木厚人委員(高エネルギー加速器研究機構機構長),辻篤子委員(朝日新聞社論説委員),西田篤弘委員(元宇宙科学研究所所長,諮問委員長)で,今回,柘植綾夫委員(芝浦工業大学学長)は公務のため欠席であった。理学系研究科からの出席者は,山形俊男研究科長,相原博昭副研究科長,福田裕穂副研究科長,西原寛副研究科長,長谷川修司研究科長補佐,小澤岳昌研究科長補佐,寺島一郎研究科長補佐,五神真研究科長補佐,大塚孝治理学系評価委員長,武田洋幸本部広報室長,横山広美准教授(書記),大西淳彦事務部長,二宮徹平総務課長,佐藤哲爾学務課帳,生田目金雄経理課長である。

委員長選出のあと,西田委員長のもとに議事が進められた。まず,理学系研究科側が山形研究科長を中心にこの1年間の出来事を報告し,それに対して諮問委員が質問や改善点を投げかけるというスタイルで議事が進行した。報告したおもな内容は,1)理学系研究科,および理学部の「行動シナリオ」,2)学部および大学院教育の現状,3)理学系研究科の国際化に向けた取り組み,4)男女共同参画の取り組み,5)キャンパス計画,6)学生支援室の取り組み,7)環境安全関係の取り組み,8)広報活動,9)リーディング大学院事業,10)就職支援室構想であった。次いで,理学系研究科・理学部の教育・研究と社会連携はどうあるべきかについて諮問がなされ,諮問委員からのさまざまな指摘や提言が百出した。とくに,以下に記すように理学系としての教育に指摘が集中した。

  • 理学系として考えるべきは,理学系の役割と卒業生の活躍である。
  • サイエンスの教育をするだけでなく,企画やグループをマネージする能力を鍛える教育をすることも,人材養成の点から重要である。
  • 一般的な教育でリーダーは養成できないのではないか。実験装置を新たに作るような,明日,何がおこるかわからない中での対応を自ら経験して初めてリーダーが育つ。そうした基礎を重視した教育の中で,リーダー育成をすべきである。
  • 21世紀COE,グローバルCOE,リーディング大学院と教育の仕組みが政策的にコロコロかわっていく中で,これにのって教育しているのは問題ではないか。理学系研究科では,継続性を考慮しながら教育をして欲しい。そのための仕掛けが別途必要であろう。
いずれも的確で重要な指摘であり,理学系研究科としては,リーディング大学院構想だけでなく,自らのポリシーに立脚したリーダー教育システムを構築する必要があると強く感じた。

諮問に引き続き,地球惑星科学専攻の吉川一朗准教授と井出哲准教授の研究室の見学が行われた。吉川研究室では,惑星の大気やプラズマの運動・発生の仕組みを,光の観測データから明らかにすることを目指しており,月探査機かぐやにも自作の機器を搭載している。諮問委員はいずれも科学に対する造詣が深く,食い入るように説明資料に見入っていた。井出研究室では,地震の根本的な理解を求めて,プレート運動による応力の蓄積や岩石の破壊と摩擦すべりを支配する物理法則を明らかにしようとしている。昨年の大地震のこともあり,井出研究室のような地道な研究の重要性を再認識した様子であった。

最後の締めで行われた,山上会館での懇親会では,理学系研究科諮問にとどまらない,科学全般,科学行政,大震災からの復興,諸外国事情などさらに広いスペクトラムでの談論風発を諮問委員の先生方との間で楽しむことができ,諸先生の見識の高さをあらためて認識した。今後は,今回いただいたさまざまな指摘や提案を理学部・理学系研究科の運営に活かしていくことが,私たちに科せられた使命であると考えている。

(肩書きは諮問会当時)