理工農医 4研究科合同 公開講座「放射線を知る」の開催

大塚 孝治(物理学専攻 教授 原子核科学研究センター長 兼務)

図1

安田講堂での本公開講座の様子

東日本大震災以来,放射線への一般社会からの関心は高いにもかかわらず,その的確な事実認識や理解を得る機会は十分ではないようです。それをいくらかでも改善すべく,本学の理学系,工学系,医学系,農学生命科学の4研究科は合同で,表記の公開講座を2012年2月19日に安田講堂にて開催いたしました。短い周知期間であったにもかかわらず,写真のようにほぼ満席になる盛況で,関心の高さが実感されました。筆者のほかに,高橋浩之工学系教授,中川恵一医学系准教授,中西友子農学生命科学教授が幹事として進め,横山広美准教授始め理学系研究科広報室の全面的なご支援を得て実現しました。講演では,「宇宙と地球の放射線」(筆者)で放射線の入門と自然界の放射線の強さやその宇宙の歴史における起源が示され,「放射線工学~放射線の利用から防護・除染まで~」(工,勝村庸介教授)では産業界でのさまざまな放射線の利用の仕方や放射線の防護と除染について話されました。「農作物と放射線」(農,中西教授)では,植物中の水の流れの放射線による解明という先端的な成果,その福島地方での農業との関連が示されました。「放射線を理解するための生物学」(医,宮川清教授)では放射線による生物への影響が生物学的な観点から話され,「放射線の人体に対する影響:広島・長崎,チェルノブイリの経験から福島を考える」(長瀧重信長崎大学名誉教授)では広島・長崎での疫学的な調査結果から得られた貴重な知見,チェルノブイリの状況を話されました。放射線は多岐にわたり,それぞれの分野では深い専門知識も必要なので全貌は分かりにくいですが,聴衆の皆様にその全体像がお伝えできていれば幸いです。最後に,急な企画であったにもかかわらず,迅速に対応くださった,理学系事務の皆様にも感謝申し上げます。