第7回日本学術振興会賞を本研究科化学専攻の教授2名が受賞
日本学術振興会賞は,人文・社会科学および自然科学の全分野の中で,学術上とくに優れた研究成果をあげたと認められる若手研究者に与えられる賞である。 第7回(2010年度)は,本研究科化学専攻の小澤岳昌教授と福村知昭准教授の2名が受賞した。
小澤岳昌教授の受賞を祝して

小澤岳昌教授
受賞対象となった研究題目は,「蛍光タンパク質の切断と再構築を利用したレポータータンパク質の再構成法」です。
小澤岳昌教授は,生きた細胞や生物個体の中で機能する生体分子を可視化するための方法を開拓しています。 とくに,蛍光タンパク質や発光タンパク質を利用した「タンパク質の再構成法」とよばれる独自の技術を開発し,生細胞内でのタンパク質間相互作用の検出やミトコンドリアRNAの可視化など,さまざまなライブイメージング技術の開発に成功しています。 タンパク質の再構成法は現在,国内外の多くの研究者に利用されており,基礎生命科学研究に大きく貢献しています。 また,創薬のための化合物スクリーニングや,実験動物の非侵襲的な分子イメージングなど,薬学や基礎医学研究にも応用が始まっており,さまざまな分野の研究者から国際的に高い評価を受けています。
小澤岳昌教授の日本学術振興会賞受賞に心よりお祝い申し上げます。
福村知昭准教授の受賞を祝して

福村知昭准教授
受賞対象となった研究題目は「磁性酸化物半導体の創成」です。
福村准教授は,固体物理化学および物性科学を軸として,斬新な物質設計と卓越した薄膜成長技術により,透明酸化物をベースとした磁性半導体(磁性酸化物半導体)という新たな研究フィールドを創出しました。 新物質の開発に引き続き,室温強磁性体の探索,磁気的性質の解明,およびデバイス実証を行い,そしてごく最近は,半導体スピントロニクスの最重要課題のひとつでもあった室温強磁性の電気的制御という偉業を成し遂げました。 磁性酸化物半導体は合成が容易なことから,今では世界中でさかんに研究がなされています。 未解明であった室温強磁性の起源についても,福村准教授の一連の研究により,キャリアを媒介とする強磁性であることが明らかになりました。 このように,福村准教授は,物質科学の進展とその技術展開に大きく貢献しており,国際的にも高い評価を受けています。
福村知昭准教授の傑出した業績に敬意を表すとともに,日本学術振興会賞受賞に対して心よりお祝い申し上げます。