吉戒直彦助教がシンガポール国立研究財団リサーチフェローシップを受賞

中村 栄一(化学専攻 教授)

図1

吉戒直彦助教

化学専攻の吉戒直彦助教がシンガポール国立研究財団(National Research Foundation, NRF)のNRFリサーチフェローシップを受賞しました。

NRFリサーチフェローシップは,科学技術の諸分野で優れた40歳未満の若手研究者を世界中から集め,シンガポールを世界的研究センターとする目的で,シンガポール政府が2007年に創設した研究賞です。2回目となる今回は,世界各地の大学・研究所から186名の応募があり,書類審査による候補者19名への絞り込み,一週間かけての現地でのプレゼンテーションとインタビューによる最終審査を経て10名へ授与されました。吉戒助教の受賞は日本人として初めてのものです。受賞者には3年間で150万ドルの研究費をもってシンガポールの任意の大学・研究機関で研究を行う権利が与えられます。

吉戒助教はこれまで,遷移金属錯体を触媒とする革新的分子変換反応の開発およびそのメカニズムの解明について研究を行ってきました。資源豊富であり無毒な鉄は次世代の触媒化学の鍵となる金属として注目されていますが,吉戒助教は鉄錯体を触媒とする炭素−水素結合の直接変換反応を世界に先駆けて開発しました。また,吉戒助教は計算化学を駆使した触媒設計においても,炭素−フッ素結合の切断に高活性を示すニッケル触媒を開発するなど優れた業績を挙げています。今回の受賞は,それらの研究ならびに理学系研究科での教育経験に対する高い評価を受けてのものです。