理学系研究科より3名が仁科記念賞を受賞

大塚 孝治(物理学専攻 教授)

図1

授賞式において。左から家正則教授,上田正仁教授,早野龍五教授。

2008年度の仁科記念賞が発表され,今回は受賞された3名の方がどなたも理学系研究科に関わっているという,わたしたちにとってたいへん栄誉あることになりました。その3名は,国立天文台の家正則教授(天文学専攻兼任教授),物理学専攻の上田正仁教授と早野龍五教授です。

家教授は「すばる望遠鏡による初期宇宙の探査」という受賞理由で,独自の観測方法で129億光年離れた銀河の撮影などに成功し,宇宙の果てを探る研究をされてきました。天文学科,天文学専攻のご出身です。

上田教授は,「引力相互作用する原子気体のボース・アインシュタイン凝縮の理論的研究」により受賞されました。ボース・アインシュタイン凝縮は近年世界的に研究が進められてきましたが,上田教授はそのパイオニアの一人であり,とくに引力による崩壊についての研究で知られています。

早野教授は「反陽子ヘリウム原子の研究」により受賞されました。反陽子は一般にはすぐになくなってしまい,扱いが難しいものですが,CERNにて長寿命の反陽子ヘリウム原子の研究を進め,さらに低速反陽子ビームをつくって,反陽子の質量の精密測定などをしています。

上田教授,早野教授ともに物理学科,物理学専攻のご出身です。理学部,理学系研究科のご出身,ご在籍の方々がさまざまな先駆的研究をされ成果が実り,仁科記念賞のご受賞となったことにお祝い申し上げます。