田嶋文生教授が日本遺伝学会木原賞を受賞

田嶋文生教授
生物科学専攻の田嶋文生教授は,「進化集団遺伝学に関する理論的および統計学的研究」の功績により,日本遺伝学会木原賞を受賞されました。木原賞は,日本遺伝学会の最高位の賞で,遺伝学の分野で優れた業績をあげた者に授与されるものです。東京大学からは,堀田凱樹教授(1995年,本研究科物理学専攻),大坪栄一教授(1998年,分子細胞生物学研究所)についで3人目の受賞です。田嶋教授は福岡県生まれ,国立遺伝学研究所で助教授を務められた後,1995年に本研究科生物科学専攻に進化多様性生物学大講座が設立されたとき教授になられました。
田嶋教授のおもな研究テーマは,「DNA多型の保有機構および進化機構の解明」で,とくに「Tajima’s D」はDNA多型データから自然選択の有無を検定する統計量として世界的に知られています。遺伝学の分野でもっとも権威のあるアメリカ遺伝学会の学会誌「Genetics」によりますと,この雑誌に掲載された全論文の「もっとも引用された論文トップ50」に田嶋教授の論文が2編選ばれています。ひとつは1989年発表の「Tajima’s D」の論文で4位,もうひとつは1983年発表の「遺伝子系図学の理論」の論文で23位です。これ以外にも集団遺伝学や分子進化に関する研究は高い評価を受けています。
進化多様性生物学大講座の設立以来,田嶋教授は学生の教育にも献身的に尽くされていまして,進化集団遺伝学分野の有能な後継者を輩出しています。田嶋先生には,今後ますますご活躍されますよう祈念いたします。