オープンキャンパス講演会レポート午前の部

身近な生き物から広がるサイエンス ~ 形作りの不思議 ~

広報誌編集委員会

池内さんと大塚さんの活発な掛け合いで盛り上がった講演の様子

酒井英行副研究科長の挨拶につづき,講演はまず講演者の池内桃子さん(生物科学専攻修士1年)と司会の大塚蔵嵩さん(同上)がなぜ理学部に進学したのかという話から始まった。池内さんが理学部進学を志したのは高校生の頃。たとえば,生物の体内では常温で窒素からアンモニアをつくる化学反応(窒素固定)が起こっていることがすごいと思うなど,感動があったためだという。

次に,「春になると田んぼがレンゲ畑になるのはなぜ?」,「動物の模様や形はどうやってできてくるの?」,「葉の形はどうやって決まっているの?」など身近なトピックを取り上げ,途中に屋久島実習など大学生活に関する話題も挿入して,会場の高校生たちにも挙手による参加を求めつつ,池内さんの軽妙で快活な語り口と同級生の大塚さんとの活発な掛け合いで,講演は進められた。

その中で,どうして紅葉しない葉があるのかなど(1)腑に落ちないこと,葉と手の形など(2)似たものと比べることからサイエンスは始まり,シロイヌナズナ(ゲノム解読が完了し育てやすく1世代2ヶ月と生育も早い「モデル植物」)のような(3)研究しやすい材料,単純な系を使うことからサイエンスが広がるという,身近な現象からサイエンスを始める3つのヒントが示された。最後のトピックは池内さん自身の研究テーマで,池内さんはシロイヌナズナの遺伝子を組み換えて葉が短くなった変異体を用いて,葉の長さはどうやって決まるのかを研究している。この変異体はあるペプチドをコードする遺伝子のはたらきが強まった結果,葉の発生後期に基部での細胞分裂の頻度が低くなり,正常型に対し長さ方向の細胞数のみが減少してできたことをこれまで池内さんは明らかにした。これからどうしてこのペプチドが増えると細胞分裂の頻度が低くなるのかを解明するために,池内さんの自分のサイエンスの旅は続いていくという。 講演後はホワイエで高校生たちが池内さんと大塚さんをかこみ,熱心に質問する姿がみられた。