阿部研究室(地球惑星物理学科)

阿部研究室(地球惑星物理学科)

話題の尽きない宇宙ロマンの深淵(ハビタブル・ゾーン)へ。
研究室レポート
阿部研

PROFILE

理学系研究科 地球惑星科学専攻 阿部豊 准教授
阿部豊
1982年東京大学理学部地球物理学科卒業。'87年同大学大学院理学系研究科地球物理学専攻博士課程修了。学術振興会特別研究員、カリフォルニア工科大学研究員、名古屋大学水圏科学研究所助手を経て、'92年東京大学理学部助教授、2007年より現職。

2011年12月、米航空宇宙局(NASA)は宇宙望遠鏡「ケプラー(Kepler)」が、太陽系外のハビタブル・ゾーン(生命生存可能領域)で地球の2倍サイズの惑星を初めて確認したと発表した。このニュースは、テレビやインターネットで大きく取り上げられた。とりわけ2011年はものすごい勢いで系外惑星の発見が進み、「系外惑星革命」とすら呼ばれているほどだ。

地球型惑星といっても、地球と比べれば暑すぎたり寒すぎたりといった多様性がそこにはある。阿部研究室の研究領域は、そうした地球型惑星の多様性がどこから生まれてくるのか、あるいはどのようにして多様性がもたらされているかについての理論を対象としている。

「"宇宙人について研究したい"という動機でやってくる学生がいたりと、ユーモラスな入り口がありながら、惑星の多様性を研究するには地質学や気候学、天文学や生物学の一部など、非常に多様な知識が必要になってきますので、タフさが求められます。それゆえか出口も、研究者はもちろん作家志望や教育者と、非常に幅広いのが特徴です」と阿部 豊准教授。

セミナーとして1年に1〜2冊、英文で書かれた研究書を原文で読み合わせしたり、ディスカッションを活発に行ったりと、研究風景は協同的。広範な知識を互いに高め合えるように工夫されていると言える。

「私はどのようにして惑星の在り方が決まって、今の構造になっているかを研究しています。たとえば星間ガスがどういった過程を経て、やがて太陽系へと形づくられたのか。その生成プロセスを考えています」と話すのは修士課程1年の神 悠史さん。今でこそ惑星として存在しているものも、かつては微小な宇宙の塵だ。惑星の起源から解き明かそうとするアプローチだ。

一方で、同じく修士課程1年の高尾雄也さんは、「僕は惑星に存在する水について研究しています。たとえば、太陽に近づくと惑星の温度が上昇するから水は蒸発してなくなりますが、その条件は水の量で違います。かえって水が少なく、ほとんど砂漠の惑星の方が蒸発しにくいらしい。つまり、そこには全然違う気候状態があるようなんです。水と惑星の環境にはどんなメカニズムがあるか、そこを明らかにしたいんです」と話す。ハビタブル・ゾーンと密接な関係を持つ水。そんな水と気候の関係性から宇宙のメカニズムを考察する。同じ研究室にいながら、これだけの幅広さがある。そして、互いの研究を知ることが、自身の研究を次のステージに導くこともある。

「系外惑星の新発見は、技術力に比例していきます。現在はただ系外惑星があるという情報がほとんどです。これからは惑星の大気の組成や温度といった、より詳しい情報を集めようとしている。予測よりもとても早いテンポで技術は進んでいます。これから10年、20年は発展と発見が相次ぐ、面白い時代でしょう」と阿部准教授はこの分野の可能性について語ってくれた。

SFが好きなら一度は夢見た地球外生命体やセカンド・アース。そのロマンあふれる世界の最先端は、もはやSFが現実のものになっていく世界が広がっている。100年以上も前に描かれた人類の夢が一歩一歩近づいてくる現場に、ぜひ立ってみてほしい。

学生⇒教授
逆評定
  • 「週1回の面接ではしっかりと時間を取っていただけます。とても丁寧で嬉しいです」(M2・小玉貴則さん)
  • 「広範囲にわたる知識の幅がすごい。たまたま話した旅行先の、現地の人しか知らないことも普通に知っていたりいます」(M2・脇田美幸さん)

photo/稲田 平 text/森オウジ