近藤研究室(地球惑星環境学科)

近藤研究室(地球惑星環境学科)

フィールドワークから机上実験まで、多彩な研究。
研究室レポート
近藤研

PROFILE

理学系研究科 地球惑星科学専攻 近藤豊 教授
近藤豊
1972年東京大学理学部地球惑星物理学科卒業、'77年同大学院理学系研究科博士課程修了。'92年名古屋大学太陽地球環境研究所大気圏環境部門教授、'95年同研究所附属母子里観測所長、'99年大気圏環境部門主任。2000年東京大学先端科学技術研究センター教授。'11年より現職。

地球大気中の微粒子「エアロゾル」は気候にどんな影響を与えているのだろうか?

近藤研究室は、その影響の度合いやメカニズムの解明に取り組んでいる。「エアロゾル」は、人体に有害な硫黄化合物や有機化合物などを含む大気汚染物質である。と同時に、「エアロゾル」のなかには、雲の形成を促す性質を持つものがある。雲は太陽の光を遮り、地球を冷やす働きをする。すなわち、人間活動から生じるエアロゾルが地球の温暖化を相殺・抑制している可能性がある。

一方、「エアロゾル」のひとつである「ブラックカーボン」(すす)には、太陽の光や熱を吸収する性質があり、温暖化を加速する要因とされる。「エアロゾル」が総体として、温暖化にどんな影響を与えているかは、これから解明していかなければならない大きなテーマだ。

近藤 豊教授が研究でもっとも大切にしているのは、「測定の精度」だ。精度が低ければ、測定データの上に積み重ねていく解析や理論も信頼性の低いものにならざるを得ない。人類の営みに直結する地球環境という分野においては、精度の飽くなき追求が、地球の将来を見通す力へとつながる。その信念のもと、近藤教授は日々の研究に取り組んでいる。

そして、近藤教授は地球の未来を危惧しているという。

「地球は危機に瀕している。知れば知るほど、地球は複雑で脆弱です。私たち人類は地球のことを深く学び、地球をもっと愛さなければいけないと思います。そのために、私たちは研究に励んでいきたい」。

近藤研究所では、大気やエアロゾルという対象を多角的に研究している。フィールドでの観測、気象モデルの研究、机上実験など、切り口は多彩だ。

「研究室にいるだけで幅広い知見を得ることができます。各自が研究成果を発表する毎週のセミナーは、いつも驚きの連続です。フィールドワークも、研究の実感を味わえる大きな楽しみです」

修士1年の藤原英大さんは、近藤研究所の魅力をこのように語る。フィールドに出るチャンスは、航空機観測や沖縄での定点観測など、年に何度かあるという。

国際色の豊かさも研究室の特徴で、研究生は、その半数を留学生が占める。近藤教授が、ブラックカーボンの測定・研究で世界的に有名であることに加え、気象学会で国際学術交流を担当しているためだ。留学生とのコミュニケーションはもちろん英語。世界で活躍できる研究者を目指すには格好の修業の場だ。

「スケールが大きく、他ではできないことをやりたかった」と、修士2年の大畑 祥さんは、近藤研究所を選んだ理由を語る。地球環境という壮大なテーマと、高精度な測定技術に、大畑さんは魅せられた。「大気や雲は、身近でありながら、そのメカニズムについてはよくわかっていません。自然現象の根本にある物理を、自分が発見できるかもしれないというロマンも、研究室を決めた大きなポイントでした」

また、修士2年の清水亜沙さんにとっては、研究と社会とのつながりも決め手になったという。「研究成果が温暖化対策に直結するこの分野でなら、私が好きな数学やデータ解析を世の中のために活かせると思いました」

知る喜びと社会と交わる喜び。その2つを同時に手にすることができるのが、近藤研究所の魅力だ。

学生⇒教授
逆評定
  • 「話がわかりやすいうえに、とても面白いんです」(M2・大畑 祥さん)
  • 「学生の意見や研究成果を尊重してくれる先生です」(M2・清水亜沙さん)
  • 「いくつになっても研究に情熱を燃やされている姿はカッコいいと思う」(M1・藤原英大さん)

photo/貝塚純一 text/萱原正嗣