梅田研究室(天文学科)

梅田研究室(天文学科)

宇宙の謎を計算で解き明かす—。
研究室レポート
梅田研

PROFILE

理学系研究科 天文学専攻 梅田秀之 准教授
梅田秀之 准教授
1989年京都大学理学部卒、'91年米国モンタナ州立大学で修士取得、'97年米国ミシガン大学(物理学専攻)博士課程修了。同年東京大学大学院理学系研究科、東京大学初期宇宙研究センターで研究員、'07年より現職。主な研究分野は、恒星進化論、超新星、元素合成、宇宙物理学。

観測ではなく計算。コンピュータを駆使したシミュレーションで、宇宙の神秘に迫るのが理論天体物理学だ。梅田秀之准教授のグループが取り組む研究テーマは大きく分けて2つある。星の進化と、その過程で生まれる元素の起源だ。

137億年前、ビッグバンが起こり宇宙が誕生した。それ以降、宇宙に生まれた重い恒星は、やがて超新星爆発を起こし、一生を終えることが知られている。爆発により、太陽の質量を基準値として、その10倍から25倍ぐらいまでの星は中性子星になり、25倍以上ならブラックホールとなる。こうした表面的な現象はわかっている。しかし超新星が爆発するメカニズム自体は、まだ解明されていない。そこで「こういった重い星が爆発する前段階の進化を計算し、爆発時の様子を数値計算することで、超新星爆発のプロセスをシミュレーションしています」と梅田准教授は研究内容を端的に語る。

では、元素の起源はどうやって突き止めるのか。そもそもビッグバン直後の宇宙には、水素、ヘリウム、リチウムしか存在しなかった。やがて星の中核で起こる核融合によりさまざまな元素が作られていくが、そこでできるのは鉄までだ。鉄より重い元素は超新星の爆発時に作られる。「『rプロセス』と呼ばれていますが、そのメカニズムもまだよくわかりません。これを計算で突き止めることも課題です」と梅田准教授。宇宙の謎は、すべて計算によって解明可能なのだ。

実際、研究室にいるメンバーはみんなモニターに向かい、ひたすら計算作業に没頭している。大学の研究室にしては珍しく整理整頓されており、とても静謐な空間である。時おり響くキーボードの音が、よけいに部屋の静けさを際立たせている。

「ここでは先輩、後輩という考え方がありません。例えば星の進化、超新星の三次元計算、元素合成プロセス、宇宙最初の星についてと、各自の研究テーマがそれぞれ異なり、みんなが独立した研究者として扱われるのです。これは梅田先生の考え方が反映されているのでしょう。かといって、仲が悪いわけではもちろんありません。誰かがアイディアを求めたときには、みんなで協力します」と、研究室の雰囲気を修士課程1年の大北晨平さんは語る。

使われているパソコンにアップル社のマッキントッシュが多いのは、計算結果をグラフィカルにシミュレーション表示する必要があるからだろう。天文といえば観測、そんな思い込みを覆す研究世界がここにはある。博士課程2年の泉谷夏子さんは「机に向かってひたすら考える。それだけで壮大な宇宙のことを理解できる。小学生の頃から、難しい算数の問題をひとりでじっと考えることが大好きだった私には、理想の研究対象です」と理論天体物理学の魅力を語る。

学部4年の高橋 亘さんは「数式だけで追究していく思考の明澄さに引かれました。しかも対象は広大な宇宙。謎だらけの宇宙の歴史を計算で理解するってなんかカッコよくないですか(笑)」と、梅田研究室を選んだ理由を語ってくれた。

学生⇒教授
逆評定
  • 「動き方、話し方、歩き方。どこか不思議なところがある先生(笑)」(B4・高橋 亘さん)
  • 「自由放置主義。他の研究室との共同研究でもどんどんやらせてもらえます」(M2・平野信吾さん)
  • 「良い意味で先生っぽくない。でも、何でもよく知ってますね」(D2・泉谷夏子さん)

photo/稲田 平 text/竹林篤実