01 数学科

数学には終わりがない。だから楽しいんです。

Presenter

数理科学研究科 数理科学専攻

  • 加藤研究室 博士課程1年 穂坂秀昭さん

「目的」ではなく、それをやることがテーマ。過程でわからないことが出てくれば、また調べる。ある証明がある。証明できて終わり、ではない。それがよりよく理解できる形を探す。その営みにゴールはない。「論理でカッチリ固められるのもひとつの魅力ですし、問題の本質を見抜こうとする姿勢も好きです」。根っからの数学好きで、「もし仮に大学を去ったとしても、趣味で数学は続けたい」

穂坂秀昭さんの研究、専門は「表現論」である。

「表現論には、"群の表現論"や"Lie環の表現論"など、いろいろな種類があります。 いちばんわかりやすい例が"群の表現論"だと思います。"群"とは何か、一言でいうと"ある種の対称性を表すもの"です。わかりやすく正三角形で考えると、重心を中心として60度、あるいは120度回転させると対称です。さらには重心とそれぞれ3つの頂点を通る軸について折り返しても対称になる……」

こうした性質を持つ集合を"群"と呼ぶのだが、これをわかりやすく行列で"表現"するのが表現論だ。

「群の表現は完全に分類できてしまうんです。それをいろいろな群でやろうというのが、僕の重要なテーマです」

研究の未来像を尋ねると、穂坂さんは「わからない」ときっぱり言った。

「とにかく表現というものがあったら、まずはバラバラにして、それらが何なのかっていうのを全部決めてしまおうと。バラしたときの最小単位になる既約表現を分類してしまうんです。それが終わったら、表現全部を集めて何ができるかを考えたりします」

調べるとわからないことが出てくるので、それをまた調べる。そしてその過程でまたわからないことが出てくる。

「表現論は 、とくにカッチリしたところがある、という点が美しいと思います。表現があれば分解でき、既約表現から組み立てることができますから」

と、穂坂さん、同室にいた仲間に尋ねた。「表現論の目的ってなんだい?」

「目的は知らないですよ。僕は楽しんでるだけで(笑)」と彼は答え、卓上の計算に戻った。穂坂さん自身、数学がとても楽しいという。もしこの後、大学での研究を続けなかったとしても、「趣味で数学は続けていくでしょうね(笑)」

穂坂さんに、好きな数式を黒板に書いてもらった。「」カツカツというチョークの音に、研究室の仲間が顔を上げてつぶやいた。

「あぁ、懐かしいな……」

シンパシーを感じたら、そんな人は間違いなく数学科の資質があるだろう。

テトリスブロックのような正方形の連なりはヤング図形。 自然数の分割を視覚的に表すときに使う "箱" だ。 ここに数字を書き込んだものがヤング盤。 穂坂さんは、これらを使って、様々な表現を分類していくという。

photo/玉井幹朗