08 生物化学科

メカニカルだし、アートだし、生命のリズムはとにかく不思議です!

Presenter

理学部化学科

理学部生物化学科

    深田研究室 博士課程
  • 2年 平野有沙さん
  • 1年 寺嶋秀騎さん
  • 1年 中野純さん

日常は、「ひたすらマウスを使った実験」という平野さん・寺嶋さんに「僕は、おもに迷路などの行動実験と脳を使った生化学に取り組んでます」という中野さん。生物に現れる変化を観察することが多いため「基本、待ち時間が長い」らしい。実は平野さんたちにも、ある展望がある。「未来は、人間の体内の時計をコントロールできるようになればいいなって。時差ボケ解消とか、今ここでがんばりたいっていうときに眠くならないとか(笑)」

様々な生物のあり方を手がける生物学に対し、生物化学は生命の普遍的なメカニズムを分子や遺伝子のレベルから解き明かそうというもの。

平野有沙さんと寺嶋秀騎さんが研究する「サーカディアンリズム」は、簡単に言うと、生物の“体内時計”によって生み出される一日周期の生物リズム。

人間のサーカディアンリズムは約25時間周期。一日1時間ずつズレるが、朝日を浴びるとリセットされる。

「人間は進化する課程で様々なシステムを獲得してきましたが、なかでも24時間で1回自転する地球に合わせて得たサーカディアンリズムは、ココを明らかにすることで、人間がいかに進化してきたのかの一端を理解できそうな気がします」という平野さんに対し、寺嶋さんは「人間の体の中では、多くのタンパク質が一日を通しリズミックに増減していて、それらは絶妙なバランスで制御されている……。“生物”なのにメカニカルな機構が厳密に決められていて、そこが面白いんです」という。ともに、“人間ってどうやってできているのか”を解明したいのだ。

一方、中野 純さんは脳の高次機能を研究し「マウスの不安様や鬱様の行動はどのように体内時計によって制御されているのか、という点に着目している」というのだが、これには学術探究を超えた大きな目的があることを強調する。

「鬱病は治せるのか、ということです。自分がなぜ脳の研究を志したかは覚えていないんですが、そもそも“人間が卵から生まれて大きくなっていくのってアートだな”と思っていました。で、だんだん“自分って何だろう”って哲学的なことも考えるようになって、今は生物の“こころ”に強く興味を持っています」

そして「体内のリズムが狂うと感情に影響を及ぼす」というテーマのもと、それがなぜ起こるのかを考えている。

「何に役立つかはともあれ、真実に肉薄したい」寺嶋さんに、「いずれ誰かが役立ててくれると思う」平野さん、「その先に何ができるのかという大きな絵をこれからの若者に見せたい」中野さん。

三者三様で、今日も生命の仕組みという魅力的なテーマに取り組んでいる。

サーカディアンリズムをグラフ化したもの。一日に1回活性化する時計遺伝子の活性化状態を生物発光(ホタルの光を使用)を利用して可視化しているのだ。横軸は時間。数日にわたって生物発光をモニターすると、こうした波形が得られるという。

photo/玉井 幹朗