大学院生の今

元素合成を用いて宇宙の謎を解き明かす、その方法、解は絶対に存在している。

小学生の頃から、数学と天文学のつながりを考えていた泉谷さん。学部3年のときに元素合成という分野と出会い、数学の計算を駆使して、初期の宇宙の姿や超新星のメカニズムの解明に挑んでいる。

研究内容を教えてください。

泉谷夏子さん

理学系研究科 天文学専攻
梅田研究室 博士課程2年
泉谷 夏子さん  NATSUKO IZUTANI

2008年東京大学理学部天文学科卒業、’10年同大学大学院理学系研究科天文学専攻修士課程修了、同年同大学大学院理学系研究科天文学専攻博士課程入学(梅田研究室)、’10年より日本学術振興会特別研究員(DC1)、現在博士課程2年在学中。

私の研究テーマは超新星元素合成というもので、星の死にあたる超新星でどのような元素が生成されるのか、計算シミュレーションで解き明かそうとしています。宇宙を構成している元素の起源や星の進化で起こる超新星のメカニズムは、観測データもない未知の領域です。その領域を理論と計算によって解明しうるのがこの分野の特徴といえます。また、宇宙初期の超新星で起きた元素合成と、自分の身体を構成する元素との繫がりを感じる不思議な感覚。宇宙という壮大なスケールのパズルを目の前のコンピュータで解き明かしているという臨場感。それを実感できるのもこの研究の魅力のひとつです。

海外の研究者と共同研究されることはありますか?

グローバルCOEプログラム「未来を拓く物理科学結集教育研究拠点」のキャンパス外派遣で、オーストラリア国立大学のMt. Stromlo(マウント ストロムロ)観測所に滞在し、2011年1〜2月にかけて1ヵ月間、共同研究をおこなってきました。滞在全体を通して実感したことは、自らアイディアを生み出す創造性、他者のアイディアに応えることのできる力、その両者が揃ってこそactivityを持って共同研究していけるということ。それと、自分が申請した研究を期間内にその場で完遂するという責任感です。違う環境に身を置き、その場で必要なデータを叩きだす状況は、自分の力を試せる絶好の機会でした。観測所には、元素関係の研究者が多数所属しており、朝から晩まで議論が尽きませんでした。昨年ノーベル賞を受賞された天体物理学者のブライアン・シュミット氏に、自分の研究発表を聞いてもらい、2人で議論し、元素合成という分野について彼の意見、裏話なども聞けました。滞在成果はApJL(アストロフィジカルジャーナルレター)として出版され、非常に満足のいく論文になったと思います。

学部時代と博士課程の違いを教えてください。

博士課程は研究成果を求められる厳しい世界ですが、充実感があります。また、ある程度、自分の核になるものを持つことも要求されます。修士では認識してもらえなかった自分の立ち位置や研究成果が認められるようになり、自分の場所が何となくできてくる。アイデンティティーを手に入れるような感じですね。真理を解き明かす一員でありたい。そう思いながら、ようやく本格的な研究という道の前に立てたような気持ちでいます。

一日のスケジュール

4:00 就寝
10:00 起床
メールチェック、コーヒー
11:00 登校
12:00-12:30 食事をしながら
最新論文のチェック
12:30-14:30 デスクワーク
14:30-15:30 教授と共同研究者との
ミーティング
15:30-18:00 研究室ゼミ
18:00-21:00 デスクワーク
22:00 帰宅、夕食
23:00-4:00 デスクワーク

Photo:稲田 平 Text:松井真平