教育改革:歴史はくりかえす,されど・・・

教育改革:歴史はくりかえす,されど・・・

石田 貴文(生物科学専攻 教授)

図1

半世紀近く前の「大学院改革」に向けた資料

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「東京大学の秋入学・・・」が世間を騒がせ,そして騒がせただけで終わった。と言って良い今日この頃である。大学を良くしよう,より良い教育・研究環境を実現しよう,という心はいつの時代にも綿々と紡がれている。現「理学部ニュース」は,あの大学紛争(1960年代)の後に理学部内の教官・学生・職員のあいだの風通しを良くするために「理学部広報」と銘打って発刊された。1969年11月,理学部広報第1巻13号に「大学院の現在と将来(東大理学系大学院の立場から)」と言う記事が,4ページに亘り,理念,制度,組織,教育・研究,院生の生活,教官に関して掲載されている(理学系研究科のホームページからバックナンバーが読める http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/newsletter/)。 さすが,「理学部」と思わないだろうか?問題を怜悧にとらえ,衒い無くa(建前)~e(当面の方策)にまとめあげている(図参照)。しかも全4ページでカタカナ用語が使われるのは10回のみである。これを先日配布され,皆さんの手元にあるであろう学内広報no.1443特別号「ワールドクラスの大学教育の実現のために 学部教育の総合的改革」と見くらべて欲しい。2013年の学内広報ではどうしてこんなにカタカナを使うのだろうか?アクションリスト?ナンバリング制?グローバル化?ちなみに,私のパソコンで文字変換すると「愚弄張るか」になる。この記事を書いていると,昔の映画「会議は踊る」の主題歌 ' Das gibt's nur einmal… ' が聞こえてくる。それは,「ただ一度」。でも「歴史はくりかえす,されど・・・」