「人間の本質にせまる科学」

井原 泰雄(生物科学専攻 准教授)


井原泰雄,梅﨑昌裕,米田穣 編
「人間の本質にせまる科学
:自然人類学の挑戦」
東京大学出版会(2021年)
ISBN 978-4-13-062228-8

現生人類であるホモ・サピエンスは,どのような進化の道筋を辿って来たのか。世界の人々の間に見られる多様性はいかにして生じたのか。なぜわれわれは,他の動物に見られない特殊性,例えば,文化,言語,自由意思をもつに至ったのか。人類進化にまつわるこのような疑問に科学的手法を用いて取り組む学問分野は,自然人類学(または生物人類学)と呼ばれている。

東京大学では,理学部生物学科を中心に,一・二年生向けの自然人類学の講義「人類科学:人間の本質にせまる科学」を開講している。本書は,この講義から生まれた大学生向けの自然人類学の教科書であり,最新の総説である。 四部構成の第Ⅰ部では,アフリカ類人猿の一種として誕生した初期人類から,現生人類に至る進化の道筋が解説される。第Ⅱ部では,近年急速に発展したゲノム科学に基づく人類学研究を,第Ⅲ部では,ヒトの身体に見られる適応的デザインを扱う。第Ⅳ部では,言語進化,考古学,文化人類学に焦点を当てる。

生物学科に進学した三年生のうち,A系カリキュラムを選択した学生は,こうした自然人類学をより深く学ぶ。(もう一方のB系では主として基礎生物学を学ぶ。)本郷キャンパスの理学部二号館では,大学院理学系研究科生物科学専攻に所属する五つの研究室が,それぞれ形態人類学,ゲノム人類学,進化人類学,人類進化生体力学,ヒトゲノム多様性の研究を進めている。

理学部ニュース2021年11月号掲載

 

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