「地球・惑星・生命」

橘 省吾(宇宙惑星科学機構 教授)


日本地球惑星科学連合 編
東京大学出版会(2020年出版)
ISBN978-4-13-063715-2

地球惑星科学とは,私たちを取り巻く自然の成り立ちを理解しようとする学問である。地球や生命とはなにかという根源的疑問の解明から,人類はどのように地球で暮らしていくべきかという社会に直結した問題の解決までをめざす学問ともいえる。地球惑星科学が対象とする事象は多岐にわたり,個別の対象の深い理解をめざし,様々なアプローチで研究が進められているが,これらの事象は地球という複雑なシステムのなかで起きており,すべてつながり,なんらかの関連をもつ。

本書は,日本の地球惑星科学コミュニティを代表する学会である日本地球惑星科学連合が,一般の方やこれから地球惑星科学を学ぼうとする方を対象に,地球惑星科学の全体像を理解していただくことを目的として,刊行したものである。「宇宙のなかの地球」,「生命を生んだ惑星地球」,「岩石惑星地球の営み」,「地球環境の現在,過去,そして未来」,「人間が住む地球」の五部構成の中で,太陽系外惑星や「はやぶさ2」から,生命の起源,地球内部,地震や火山,地球史,社会と環境まで,様々な最先端の話題をまとめている。関連する学術論文も紹介されており,地球惑星科学分野の専門家や大学院生の方には,自身の研究テーマから少し離れた分野の最前線を理解し,改めて地球惑星科学を包括的に考える機会となる一冊 である。専門外の皆さんにも,地球惑星科学が物理や化学,生物,情報といった多様な分野を背景に展開されていることがわかっていただけるのではないかと思う。

理学部ニュース2021年3月号掲載

 

 

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