小林修教授が令和2年秋の紫綬褒章を受章
菅 裕明(化学専攻 教授)
小林修教授
本研究科化学専攻の小林修教授が、2020年11月3日の褒章発令において、学術・芸術・スポーツ分野で業績の著しい方を対象とする紫綬褒章を受章されました。心よりお祝い申し上げます。
小林教授は、永年にわたって有機化学・有機合成化学の発展に尽力されてきました。地球環境との調和を志向したグリーン・サスティナブルケミストリーの実現を目指し、医薬品や化成品等の生産過程で大量に排出される廃棄物を、有機合成化学の新手法によって大幅に削減するための研究を進めてこられました。主な研究としては有機溶媒に代わる反応媒体として水を用いる有機化学・有機合成反応の研究、リサイクル可能な不均一系触媒の開発、有機分子の基本骨格を効率よく構築するための新反応・新触媒の開発、反応容器に原料を流通させ連続的に合成を行うフロー精密合成法の研究等が挙げられます。特にフロー精密合成法を我が国の将来を担う鍵技術として大きく発展させるべく、基礎研究の充実と産業界への橋渡し、世界で活躍できる次世代の人材を育成するための教育、啓蒙にご尽力されています。
小林教授の研究は、理学の理念に基づく基礎研究ですが、学術界のみならず産業界からも大きな注目を集めています。また、同教授は、国内はもとより国際的にも高い評価を受け、米国化学会賞、独フンボルト研究賞、ハミルトン賞等を受賞しています。今回の受章を契機に、益々の御活躍を祈念いたします。
理学部ニュース2020年11月号掲載