オンライン講義の開始にあたって 
川北 篤(教務委員長/植物園 教授) 


2020年度の新学期は,これまで直面したことのない状況の中で迎えることになりました。都内における新型コロナウイルス感染症の急拡大を受け,新年度を前に東京大学全体で対面による授業(講義,演習,実験,実習)を全面的に禁止する措置がとられました。理学部・理学系 研究科では4月初めの2週間をオンライン講義の準備期間と位置づけ,すべての授業を休講にしました。その間,各学科・専攻で講義のオンライン化に向けた準備が進められ,2020年4 月17日(金)から順次講義が始まりました。オンラインによる講義を多くの教員が未経験の中,このように早期に講義を開始できたのは,学生が授業を受けられない状態をこれ以上引き延ばさないよう,教職員の皆様が一丸となって開講のための準備に尽力された結果です。

オンライン講義の実施にあたっては,学生のインターネットの接続環境の違いにより学習機 会に差が生じないよう,必要な支援を行いました。 新学期を前に理学系の学部・大学院の全学生を対象にアンケートを行い,自宅に十分な接続環境が整っていない学生に無償でWi-Fiのルーターを貸与しました。同様の支援は大学本部によって全学的にも進められています。この原稿を書いている時点で講義開始から約2週間が経ち,今のところ大きな混乱は見られていませんが,学生側の通信の一時的な不具合などにより講義が正常に受講できないケースが一部で生じています。こうした場合には講義録画の視聴や補講などで対応し,学生が安心してオンライン講義に臨めるための対策を講じています。

新学期を前に学生に向けたアンケートでは,講義がオンラインになることで教員に質問がし にくくなることを心配する声がありました。オンライン講義ではこれまでと異なる形式での対 話に戸惑うこともあると思います。しかし,学生の皆さんはぜひ積極的にオンラインツールの コメント機能や講義後の画面越し,あるいはメール等で教員に問いかけてみてください。対面での講義の時と同じように,教員は学生からの質問に常に親身に答えてくれるはずです。

講義のオンライン化が進む一方で,演習・実験・実習科目はまだ実施の目処が立っていませ ん。理学部の各学科では,実践的な探究のためのこれらの科目に多くの時間をあてていますが, オンラインではその効果が得られないため,開講を見合わせています。新型コロナウイルス感染症の影響がこの先いつまで続くかが見通せない中で,どのようにこれらの実践科目に十分な時間を確保するかが今後の大きな課題です。そのための大幅な授業日程の改変を含めた検討が各学科で進められています。

オンライン講義の準備にあたっては,接続テストに多くの学生の皆さんが参加するなど,教 員と学生が協力し合ってこの困難な状況を克服していこうとする様子が印象的でした。今後も 新型コロナウイルス感染症の状況の変化に合わせながら,学生の皆さんが安心して,着実に勉 学を修めることができるための方策を探っていきます。何卒,皆様のご理解とご協力をよろし くお願い申し上げます。

理学部ニュース2020年5月号掲載

 


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