新型コロナウィルス感染症への理学部の対応  
星野 真弘(理学系研究科長・理学部長/地球惑星科学専攻 教授)

いつもは学生で賑わう4月の本郷キャンパスですが,今年はひっそりと静まり返ってい ます。2020年4月8日(水)の新型コロナウィルス感染症の緊急事態宣言により,東京大学の活動制限レベルが引き上げられ,教育研究活動は一転しました。コロナ禍が教育研究活動に影響を及ぼし始めたのは2月上旬からで,最初は中国で開催予定のサマースクールや国際会議の延期・中止など,特定の国や感染地域だけに限定したものでしたが,瞬く間に世界中に感染が広がるパンデミックとなってしまいました。現代社会の隙をついた新型コロナウイルスですが,理学部では以下のような教育研究活動の取組みを行っています。

まず理学部の授業は,教務委員会を中心に対応策を検討していただき,4月最初の2週間の準備期間を経て2020年4月17日(金)からはオンライン講義を実施することにしました。最初は学生の自宅・下宿からのネットワーク環境が心配でしたが,Wi-Fiルーターなどの貸出を行い,何とかスタートできたのではないかと思います。またオンライン講義では,学生と教員の双方向のコミュニケーションが制限されるので,教育効果が下がるのではないかと心配でしたが,予想以上に学生も教員もオンライン講義への順応が早いようです。もちろん色々と大変なのですが,教員のITC-LMS(Information Technology Center - Learning Management System)*を利用した講義などの工夫もあり,学生の中にはむしろオンライン講義のほうが集中できるとか,通学時間が節約でき時間に余裕が出来たなどのポジティブな声も届いています。

いっぽうでは,情報化時代に相応しいオンライン講義は何とか始められましたが,友人とのコミュニケーションが激減したことにより心のケアが必要な学生もでてきているようです。そのような方は遠慮せずに教員に相談するなり,理学部の学生支援室や大学本部の学生相談所を利用するなどして下さい。また経済的に学業を続けることが困難になって悩んでいる方は,授業料免除や奨学金制度をはじめ,理学部の寄付基金をもとにした経済支援も行っていますので,まずは理学部の学務課までお問い合わせ下さい。

また講義以外の教育活動として,座学が出来ない実習・演習は,スケジュールの柔軟運用をするなどして出来る限り従来と同等の教育内容を目指します。学期末向けての試験や大学院入試などは,筆記試験が困難な場合に備えて,オンラインなどを活用した新しい方法での公平公正な評価を検討しています。これまでの慣習に囚われないwith-コロナ時代の対策が,将来の新しい方式になるかも知れません。

大学活動制限レベル3での研究活動は,研究を中断することにより甚大な損失を被るもの,生物の世話や冷媒の補充,計算機サーバーの維持などに制限されており,それに携わる研究スタッフだけ(事情により大学院生・研究員も可)が研究室への立入りが許可されています。最先端研究を行っている研究室には厳しい制限ですが,クラスター感染が出ないように重ねてご理解をお願いします。

今回のコロナ禍は,いつになれば収束するのか,収束しても第2波が再び襲うのではないか,完全終息には長期戦の備えが必要であるとか,先を見通せないことが多いのですが,教育研究活動の低下を最小限に食い止め,post-コロナに向けて教育研究を再開するために,皆様のお知恵を頂ければと考えています。この記事が読者に届くころにはパンデミックが収束に向かっていることを祈っています。

* 東京大学情報基盤センターが本学の教職員および学生に対して提供する学習管理システム

理学部ニュース2020年5月号掲載

 


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