2020年度文部科学大臣表彰
科学技術賞・若手科学者賞を6名が受賞

広報誌編集委員会

2020年度科学技術分野の文部科学大臣表彰が発表されました。理学系研究科からは,合田圭介教授,日比谷紀之教授,横山順一教授の3氏が科学技術賞(研究部門),笠原慧准教授,土松隆志准教授,藤井通子准教授の3氏が若手科学者賞を受賞しました。この表彰は,科学技術に関する研究開発,理解増進等において顕著な成果をおさめた方に与えられるものです。


合田圭介教授

日比谷紀之教授

横山順一教授
 

合田圭介教授(化学専攻)は,「インテリジェント画像活性細胞選抜法」の業績による受賞です。これは,高速分子イメージングと人工知能を用いて多種多様な細胞集団から所望の細胞を迅速選抜する基盤技術であり,生命科学,医学,バイオ産業に大きく寄与する研究成果として国内外の研究者から高く評価されています。また,本技術を事業化するために創業した企業への貢献も高く評価されました。

日比谷紀之教授(地球惑星科学専攻)は,「深層海洋循環像の高精度化に向けた深海 乱流の研究」による受賞です。日比谷教授は,「超高速コンピュータによる理論的予測」と「観測による検証」という二刀流を駆使することで深海乱流強度のグローバルなマッピングを行い,その緯度依存性を世界に先駆けて発見するなどの成果を挙げてこられました。深海乱流の基礎理論からそのパラメタリゼーションまで多岐にわたる成果は,深層海洋循環モデルの高精度化,ひいては気候変動予測の革新的発展をもたらすものと期待されています。

横山順一教授(ビッグバン宇宙国際研究センター)は,「最も一般的なインフレーション宇宙論の研究 」による受賞です。ビッグバン以前に宇宙が指数関数的に膨張したとするインフレーション宇宙論として,これまで様々な模型が考案されてきました。横山教授らは,既知の単一場模型をすべて包括的に記述することに成功するとともに,新たな模型の存在を明らかにしました。この成果によって,今後得られる精密宇宙観測データを系統的に解析する道が切り拓かれ,宇宙開闢の謎に迫ることが期待されます。


笠原慧准教授

土松隆志准教授

藤井通子准教授

笠原慧准教授(地球惑星科学専攻)は 「非熱的粒子の直接観測に基づくジオスペースプラズマの研究」による受賞です。 地球を取り巻く宇宙空間のプラズマにおいて,中間エネルギー帯の粒子を,独自のアイデアにより,高角度分解能・低雑音で観測する新しい技術を確立しました。そしてジオスペース探査衛星「あらせ」に搭載し, 数秒から10秒で明滅するオーロラの生成機構を解明しました。この成果は,非熱的粒子の加速・消失過程の核心に迫るとともに,宇宙プラズマ研究に新たな展開をもたらすと期待されています。

土松隆志准教授(生物科学専攻)は「植物における適応形質の進化の遺伝的基盤に関する研究」による受賞です。植物は自己の花粉 を認識して拒絶する機構を発達させていますが,一部の植物はもっぱら自家受精で子孫を残すことで高い繁殖効率を実現しています。 土松教授は分子生物学の手法を野生植物の研究にいち早く取り入れ,シロイヌナズナにおける自家受精の進化の分子遺伝学的メカニズムを世界に先駆けて解明しました。また,同様の進化がアブラナ科のさまざまな種で起こっていることを示し,野生植物で繰り返し起きた適応進化(平行進化)が共通の遺伝的基盤をもつことを明らかにしました。

藤井通子准教授(天文学専攻)は「重力多体計算を用いた星団と銀河の力学的進化の研究」による受賞です。藤井准教授は,星団銀河などの重力多体系と呼ばれる天体の力的進化を解明するため,星団中の星の運動と星団を取り巻く銀河の星の運動を分けて数値積分する新しい手法を開発しました。スーパーコンピュータを使用した大規模数値ミュレーションを駆使した研究をすすめ,銀河中での星団の進化,銀河の渦状碗の力学,星団の形成過程における力学進化の解明と幅広い分野で成果を挙げてきました。

理学部ニュース2020年5月号掲載

 


トピックス>

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加