ジョン・フラムスティード,フランシス・ベイリー編

「フラムスティード自叙伝・大英帝国恒星カタログ」

An account of the Revd. John Flamsteed

the first astronomer-royal: compiled from his own manuscripts, and other authentic documents, never before published to which is added, his British catalogue of stars, corrected and enlarged by Francis Baily.

吉村 宏和(天文学専攻 元准教授)

ジョン・フラムスティード,フランシス・ベイリー編
「フラムスティード自叙伝・大英帝国恒星カタログ」
(1835年)
An account of the Revd. John Flamsteed
the first astronomer-royal: compiled from his own manuscripts, and other authentic documents, never before published to which is added, his British catalogue of stars, corrected and enlarged by Francis Baily
 
アイザック・ニュートンとの往復書簡。ニュートンがフラムスティードに恒星カタログの発行を急ぐように伝える内容

本書は,1835年に大英帝国枢密院海軍委員会の命令で発行され,限られた人々に贈られたものである。どのような経過で天文学教室図書館に所蔵されることになったのか記録は見当たらない。天文学教室が麻布に在って東京天文台と同一の図書館をもっていたころ,明治期の先達が英国から輸入したもの思われる。本品は,10数年前に天文学教室で専門の書籍修復家に依頼して修復されたものである。

16世紀から19世紀にかけて,ニコラウス・コペルニクス(Nicolaus Copernicus),ヨハネス・ケプラー(Johannes Keple),ガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei)からアイザック・ニュー トン(Sir Isaac Newton),エドモンド・ハレー(Edmond Halley)らの貢献によって地動説の世界観が確立されていった。本書籍は,その過程において,グリニッジ天文台の初代台長アストロノマー・ロイヤルであるジョン・フラムスティード(John Flamsteed,1646-1719)の果たした役割が再評価されるきっかけとなった画期的な著作として有名である。フランシス・ベイリー(Francis Baily,1774-1844)が大量のフラムスティードの手書きの文章とさまざまな人との交流の手紙を発見し,ニュートン,ハレーなどとの関係の証拠を丁寧に整理しまとめたからである。そのため読み物としても,たいへん面白い。このような書籍が東京大学理学図書館の貴重本として大切に保管されるようになったことは喜ばしいことである。しかしながら,このような貴重本の取り扱いについては各国で異なる。米国ハーバード大学(Harvard University)ではGoogle がスキャンしたデジタル画像をそのまま公開している。英国ケンブリッジ大学では大学出版局でスキャンした結果を特殊なソフトで処理し新本のように印刷し低価で販売している。Amazonでも購入できる。知識の伝搬の戦略が異なることは明らかである。

本書籍はさらにジョン・フラムスティードの妻のマーガレット・フラムスティード(1670-1730)を独立した天文学者として再評価するきっかけにもなっている。

 

理学部ニュース2020年1月号掲載



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