蘆田祐人氏が第9回日本学術振興会育志賞を受賞

 上田 正仁(物理学専攻 教授)


蘆田祐人さん

蘆田氏は、物性物理学における量子多体系の理論と、量子光学で確立された開放量子系の理論を巧みに組み合わせることで開放量子多体物理に関する多くの先駆的研究を行った。具体的には、トポロジカル相転移の枠組み(2016年ノーベル物理学賞)を開放系の視点を取り入れて研究することで、量子臨界現象の普遍クラスを発見した。さらに、近藤系など不純物が外部環境と強く結合した開放量子系を研究し、現存する最高の数値計算手法よりも格段に高効率な計算を可能にする理論手法を開発した。

蘆田氏はハーバード大やマックスプランク研究所の研究者とも国際共同研究を行っており、多数の招待講演を行っている。また日本物理学会若手奨励賞を受賞するなど研究者コミュニティーで極めて高い評価を得ている。ハーバード大学のITAMP fellowshipというAMO分野(Atomic, Molecular, and Optical Physics)で最も名誉あるフェローシップを日本人で初めてオファーされるなど、国際的にも評価されつつある。蘆田氏は、分野の枠にとらわれない幅広い見識を有し、国際共同研究を主導するなど際立ったリーダーシップとコミュニケーション能力を示している。今後革新的な発展が期待される量子技術分野において、同氏が開拓しつつある開放量子多体系の研究は重要性を増してゆくものと期待される。この意味でも、今回の蘆田氏の受賞はたいへん喜ばしく、心からお祝いを申し上げます。

理学部ニュース2019年3月号掲載

 


トピックス>

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加