系外惑星を一度に44個も発見!

田村 元秀(天文学専攻 教授)

 


系外惑星とは太陽以外の恒星を周回する惑星で ある。夜空に肉眼でも見える恒星と違って系外惑星は観測が難しく,たとえば30年前ならば,学生はもちろん研究者でも系外惑星の観測を研究テーマに選ぶ事は大きな賭けと思われただろう。 しかし,発見後まだ20数年しか経っていないが, 系外惑星は天文学の最重要研究対象のひとつとなった。とりわけ最近では木星のような巨大惑星から一歩進んで,地球サイズの小型惑星に興味が注がれている。人類の究極の興味のひとつとも呼べる「生命を宿すような第二の地球はあるか」という問いに応えるには,小型惑星を探し,そこに生命の兆候を探すことが不可欠だからである。

しかしながら,地球サイズの系外惑星の観測 は依然として難しい。そのような中で,2009年にNASAは系外惑星探査衛星「ケプラー」を打ち上げた。太陽型星の手前を地球サイズの惑星が横切るトランジット現象を検出するには,約0.01%という星の明るさの微小な変化をとらえなければならない。大気の影響を受けない宇宙からの超精密観測により,ケプラー衛星は地球サイズのものも含む多数の系外惑星を発見したが,いずれも遠すぎて恒星自体が暗いため詳しく調べられないという問題があった。

図:44個の惑星の大きさと軌道の大きさの比較。左上は太陽系の惑星の大きさ,左下は水星の軌道の大きさを表す。惑星の色は表面の温度を表す。(赤は溶岩,青は地球の表面程度)  

ケプラー衛星は,故障により2013年に主要観測 を終了したが, 2014年からはその故障を補う観測 「K2ミッション」を開始し,よりわれわれに近い系外惑星を観測できるようになった。ただし,明るさの変化は必ずしもトランジット現象とは限らないため,地上でのフォローアップ観測により確実に惑星であることを証明することが重要である。

天文学専攻・博士課程のジョン・リビングストン(John H. Livingston)さんは,国際研究チームをリードする勢いでK2ミッションの生データを緻密かつスピーディーに解析し,有力な惑星候補を次々と選び出した。さらに,地上望遠鏡を用いたフォローアップ観測で,72個の候補天体の撮像観測や分光観測を世界各地の観測所に出向いて行った。これにより,明るさの変化の原因が間違いなく惑星であることを示し,主星の物理パラメータも決定できた。その結果,合計44個の天体が系外惑星であることを実証した。一度にこれだけ多数の系外惑星が発見されたのは,ミッション自体によるプロジェクトの発表以外ではきわめて珍しく,国内の研究者の最多発見記録にもなった。さらに,他の27個も有望な惑星候補であり,これを含めると71個にもなる。今や系外惑星の発見は,学生が主導することができる身近な分野にもなったのである。

今回の発見は,単に一度の発見数が多いことだけでなく,比較的明るい恒星を周回する小さな惑星の発見数が増加したことも重要な成果である。 地球型岩石惑星の形成・進化を理解するうえで,今後の重要な観測ターゲットとなるだろう。

光学赤外線天文学では,これからの10年で次世代望遠鏡の時代がやってくる。地上では口径8m級から30m級の望遠鏡の時代に,宇宙では口径2m級から6m級の望遠鏡の時代が始まる。これから大学院や研究者を目指す皆さんには,これらの新望遠鏡を駆使することも視野に入れて,系外惑星という新世界を開拓していただきたい。

本研究成果は, J.H. Livingston et al., The Astronomical Journal 156, 78 (2018)に掲載された。

(2018年8月3日プレスリリース)

理学部ニュース2018年11月号掲載



学部生に伝える研究最前線>

 

 

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