太陽系外惑星

須藤 靖(物理学専攻 教授)

1995年 ミッシェル・メイヨール(Michel Mayor)とディディエ・ケロス(Didier Queloz)の2 名が,ぺガスス座51番星の周りをわずか4.2日で公転する木星質量の天体を発見したと発表した。わが太陽系以外に惑星が存在することを初めて明らかにしたのだ。2010年1月時点ですでに420個を超える数の系外惑星が発見されている。これに対して太陽系内惑星はわずか8個(しかも1995年時点から1個減っている!)。もはや系外惑星に対して「系外」はとりさって系内惑星の場合のみ「系内」という修飾語をつけたほうが良いと思われるほどだ。

われわれの「世界」以外の「世界」は存在するのか。惑星系に対しておそらく有史以来ずっとくりかえされてきたであろうこの種の哲学的議論には,今や観測的に決着がついた。現在までに,太陽に似た恒星の少なくとも10パーセント以上は惑星をもつことがわかっている。複数の惑星をもつ系も40個以上知られている。これらはいずれも現在の観測検出限界内という意味において,下限でしかない。つまり惑星(系)は稀なものではなく普遍的な存在である。いっぽう, これらの惑星(系)の公転周期,離心率,質量(分布)はまさに多種多様であり,必ずしもわが太陽系が平均的というわけではなさそうだ。

このような急速な進展は当然さらなる疑問を投げかける。われわれの「地球」以外の「地球」は存在するのか。もし存在する場合,そこには海はあるのか,生物はいるのか,文明はあるのか。地球型(岩石)惑星の検出を目的とした衛星「ケプラー」が2009年3月に打ち上げられた。地球型惑星の発見自体はもはや時間の問題であろう。地球型惑星が数多く発見されれば,なかには中心星からほどよい距離にあり水が液体として存在するものもあろう(ハビタブル惑星という誤解を招きやすい名前でよばれることが多い)。とすればそこに何らかの生命が存在するのでは,と期待するなと言うほうが無理である。

いかにして遠方の惑星の生命の兆候を科学的に証明できるのか。天文学,化学,地球科学,生物学,物理学を総動員して取り組むべき「宇宙生物学」は,まさに理学系研究科でなくては行えない研究分野である。関連した研究は,物理学専攻の私の研究室,地球惑星科学専攻の阿部豊准教授,田近英一准教授の研究室などで行われている。