サンゴ礁

茅根 創(地球惑星科学専攻 准教授)

白化したユビエダハマサンゴ(2007年8月,石垣島白保)

サンゴ礁を作るサンゴは,宝石珊瑚とは異なるグループの動物で,石灰質骨格をつくり,体内に藻類を共生させるという特徴をもつ。石灰質骨格は積み重なって,サンゴ礁という地形を作る。共生藻の光合成産物は,サンゴを経由してサンゴ礁の生物たちにもたらされ,生物たちはサンゴ礁の複雑な地形を住処としている。その結果,サンゴ礁は海でもっとも生物種の多様性が高い生態系をつくっている。

現在,世界のサンゴ礁の3分の1は破壊され,3分の1は破壊の危機にある。破壊の原因は,おもに海岸開発などローカルな環境ストレスであるとされていた。しかし1998年に世界中のサンゴ礁で白化が起こり,地球温暖化もサンゴ礁の破壊の原因であることが明らかになった。白化とは,ストレスを受けたサンゴが共生藻を体外に放出し,サンゴの体を通して石灰質骨格の白い色が透けてみえてしまう現象である。白化したサンゴは,やがて死んでしまう。1998年の白化は,高水温によって光合成回路が損傷した共生藻を,サンゴが体外に放出したことによって起こった。これまでに例のない規模の白化が起こった原因は,地球温暖化によって水温が底上げされたためである。

サンゴ礁はこのほかにも,海面上昇による水没,二酸化炭素濃度上昇・海洋酸性化による石灰化抑制など,地球温暖化のシナリオのそれぞれと関わっている。私たちの研究室では,石垣島やパラオ諸島などのフィールドをベースに,サンゴ礁と地球環境変動に関する研究を進めている。水中で見るサンゴ礁は,本当に美しい。しかし,それが翌年にはすっかり死滅してしまっていることもある。石垣島では今年も大規模な白化が起こった。研究が,美しいサンゴ礁を将来の世代に残すことにもつながることを願っている。