南部陽一郎先生のノーベル賞受賞をお祝いして

理学系研究科・理学部長 山本 正幸(生物化学専攻 教授)

南部陽一郎先生(米シカゴ大名誉教授・大阪市立大名誉教授)が,小林誠氏,益川敏英氏とともに2008年度のノーベル物理学賞を受賞されたことは,私たち理学の基礎研究に携わるもの一同にとってまことに勇気づけられる快挙であり,心からお祝い申し上げます。とりわけ南部先生は本学理学部の卒業生であり,小柴特別栄誉教授のノーベル賞受賞から6年を経て,理学系研究科・理学部に新たな慶事がもたらされました。

南部先生は1942年に理学部物理学科を卒業された後,理学部の研究嘱託,研究員を経て,1949年には物理学科の助手を短期間お務めになりました。その後大阪市立大学の助教授・教授を経て, 1952年に渡米され,米国を拠点に研究を続けておられます。これまで理学部・理学系研究科にはたびたびお見えいただき,最近も集中講義や数多くの講演を通じて,私たちに大きな感銘を与えてくださいました。先生は1952年に本学で博士の学位を取得されており,理学部を研究生活の原点とお考えくださっているとすればこれに勝る喜びはありません。

南部先生は素粒子の質量の起源,超伝導現象など,さまざまな物理現象に共通する「自発的対称性の破れの発見」を中心として,東洋的な深い思索性に満ちた研究成果を重ねられ,広い領域に影響を与え続けてこられました。南部先生のご研究に触発された多くの分野で,すでに多数のノーベル賞が誕生したと聞きおよびます。今回直接の受賞対象となったお仕事から40余年を経て,先生のご業績は現代の物理学研究にますますその深い指導性を発揮しているとのことであり,まさにノーベル賞の中のノーベル賞であると申し上げてよいでしょう。ご受賞を衷心よりお慶び申し上げ,ご健勝でますますご活躍下さることを祈念いたします。