2021/11/18

シアワセモは強い光から逃げずに防御する

~4細胞緑藻シアワセモの、近縁藻類とは異なる生存戦略を発見~

 

東京工業大学

東京大学大学院理学系研究科

法政大学

 

概要

東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系の丹野明日翔大学院生(研究当時)と同大 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の若林憲一准教授、東京大学大学院理学系研究科の野崎久義准教授(研究当時)、法政大学 自然科学センターの植木紀子教授らの研究グループは、細胞が4つしかない多細胞緑藻「テトラバエナ(和名:シアワセモ)」が、強い光刺激に対して、近縁の緑藻類とは異なる生存戦略をとっていることを明らかにした。

テトラバエナは繊毛を使って水中を泳ぐ、緑藻綱ボルボックス目に属する藻類だ。緑藻などの光合成生物にとって光は重要なエネルギー源だが、強すぎる光は脅威となるため、生存に適した光環境を求めて遊泳する「光反応行動」は、遊泳性をもつ藻類にとって必須である。

研究グループはこれまでに、緑藻綱ボルボックス目に属する藻類であるクラミドモナスとボルボックスが、光刺激に対して、繊毛運動によって走光性や光驚動反応といった光反応行動を機敏に示すことを明らかにした。今回、テトラバエナにも同様の光刺激を与えたところ、驚いたことにテトラバエナは光受容機能が失われており、光反応行動を示さないことが分かった。その一方で、強すぎる光エネルギーを熱にして捨てる能力が非常に高いことを発見した。多細胞化進化の過程で光反応行動の能力を失いながらも、代わりに高い光防御能力を得たことで、自然界で生き残ってきたものと考えられる。

この成果は、PLOS ONE に10月26日にオンライン掲載された。

図:クラミドモナスとテトラバエナ(和名:シアワセモ)の走光性検定実験。それぞれの培養液をペトリディッシュにいれ、右側から眼点の光受容体がよく反応する緑色の光を照射した。クラミドモナスは正の走光性を示して右側に集まるが、テトラバエナは集まらなかった。DOI: 10.1371/journal.pone.0259138より引用して改変。

 

詳細については、東京工業大学 のホームページをご覧ください。

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―