2021/02/26

植物の茎の表皮組織がタガの役割を担うことを証明
「木造建築への応用が期待される」

 

東京学芸大学

BioMeca

立教大学

ENS de Lyon/熊本大学 IROAST

東京大学大学院理学系研究科

 

概要

東京学芸大学のFerjani Ali准教授、BioMeca, ENS de LyonのPascale Milani博士並びにGaël Runel氏、立教大学の堀口吾朗教授、ENS de Lyon/熊本大学 IROASTのOlivier Hamant教授、熊本大学の澤進一郎教授および東京大学の塚谷裕一教授らの研究グループは、茎が器官として一体となった構造を維持する仕組みについて研究しました。そして、組織張力の理論から、重要なのは表皮組織であると考え、この問題に取り組んだ結果、丈夫な表皮が茎の内圧を受け止めるタガであることを明確に示すことに成功しました。

私たちの全身をおおう皮膚は、季節を感じたり、外からの刺激や細菌などの感染から体を守ってくれる身近な組織です。植物も例外ではなく、植物体全体が表皮という一層からなる組織に包まれており、植物を病原菌やウイルスの侵入、乾燥などから守る役割があると言われています。しかし、動物細胞とは異なり、植物細胞は硬い細胞壁によって相互に連結されており、その成長は相当量の張力を生み出しています。隣接する細胞間や組織間における局所的な成長調節が、器官の整合性の維持には必要不可欠です。1859年にヴィルヘルム・ホフマイスターが「組織張力の理論」を提唱しました。この理論は、植物体の内圧が表皮に張力ストレスを与えることを示唆しました。この提唱は19世紀に活発な議論を引き起こしましたが、その検証には主に植物ホルモンなどを介した人工的な操作が用いられてきました。これらの研究の結果は、実際に植物の内部組織が生み出す内圧が外側に位置する表皮に掛かることを間接的に示唆しました。しかし組織張力理論の提唱から160年余り経った今回、私たちは、独自に単離した「茎に亀裂が生じる」シロイヌナズナのclv3 det3変異体を用いて、分子発生遺伝学やバイオメカニクスの手法を駆使して初めて「組織張力の理論」を直接的に証明することに成功しました。また応用的には、寄木造りでより太い柱を作る、などの応用が期待され、地震大国である我が国のあらゆる建築物における耐震補強技術の幅を広げる可能性を秘めています。

今回の研究成果は、国際誌DEVELOPMENT誌(オンライン版)に2月26日午後12:00(グリニッジ標準時)付で掲載されました。また掲載号中の注目すべき論文として「Research Highlight」で紹介されているほか、掲載号の表紙を飾りました。

図:(上)clv3 det3二重変異体の茎に生じた亀裂。播種後1ヶ月間の植物体の写真。白い矢尻は亀裂を示す。スケール:5 mm。(下)亀裂が発生した後のclv3 det3二重変異体の茎の横断切片の顕微鏡画像。スケール:500 µm。

詳細については、東京学芸大学 のホームページをご覧ください。

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―